課題
高度化するモノづくりへの適応
消費者ニーズの多様化、製品サイクルの短期化から、モバイル端末を始めとする、さまざまなデジタル機器は、より高機能化・小型化・薄型化へと進み、搭載される半導体パッケージや電子部品の製造プロセスに大きな変化をもたらしています。
こうした市場変化から、これまで実現できなかったレベルの、複雑形状の「ナノオーダーの微細加工」が求められています。ここで重要なのは以下の2点です。
- 1) 高精度の微細加工を実現する、超高速サイクル・同期制御
- 2) 装置仕様に合わせた周辺機器との自由度の高い組み合わせ
解決策
生産性向上のカギは、高い加工品質とスループットの両立
製造装置や検査装置の進化において、高精度な微細加工の加工品質と、高スループットが求められています。
そのためには、装置制御の核をなすマシンコントローラの処理性能向上に加え、装置仕様に合った最適な周辺機器(センサとアクチュエータ)との組み合わせや、装置性能をフルに活かす制御アルゴリズムを組み込める自由度が不可欠であると考えました。
オムロンは、超高速な演算性能、さまざまな周辺機器へのマルチベンダ接続、組込みソフトウェアの自由度を実現するマシンコントローラにより、高い加工品質とスループットを両立し、生産性を向上します。
オムロンだからできること
超精密・超高速モーション同期制御性能と、
創造性豊かなアイデアを実現する自由度を併せ持つコントローラ
超高速な演算性能(最速16.6μs/軸~)、周辺機器のマルチベンダ接続、組込みソフトウェアの自由度、この3つの特長を持つのがモーションコントローラPMAC*です。PMACが有する高いポテンシャルは、XYステージ、ガルバノスキャナ、レーザ出力すべての集中制御を可能にします。
* PMAC:Programmable Multi Axis Controllerの略称
解決への実現方法
2つの機構を1コントローラで同期制御
1)50μs/8軸の制御サイクルで高速同期超高分解能リニアスケールの検出値をリアルタイムにフィードバックして、リニアモータをフルクローズドで制御できます。軌跡精度に最も影響を与える制御サイクル(サーボサイクル)を50μs/8軸で回すことにより、XY軸の正確な同期を実現します。
さらに位置、速度、トルク、電流フルクローズド制御など、サーボアルゴリズムを搭載しているので、ユーザが自由にソフト設定を行えます。装置仕様にマッチしたモーション制御システムが構築でき、ボトルネック工程を高速化し、装置のスループット向上につながります。
軌跡速度とレーザ出力の同期で照射量を一定に
2)加工品質を均一にレーザ加工で問われる加工ムラは、レーザの実際の描画速度の不均一に起因します。レーザのベクトル速度に同期したレーザ出力パワーのコントロールにより、照射量を一定に保ち、加工の開始・終了位置やコーナー部の焦げ付きを防ぎます。部分的な過熱によるワークの反り防止にもなり、理想の加工を実現します。
1軌跡指令をガルバノ制御とステージ制御に分割
3)1軌跡指令でコントロールXYステージとガルバノの動きを同期させるオムロンの技術「Spectral Decomposition(スペクトル分解)」描きたい軌跡プログラムを実行すると、XYステージとガルバノの2つの指令に自動分配し、個別動作します。広範囲の動作はステージへ、高応答が必要な動作はガルバノに分配され、2つの動作で1つの軌跡を描画します。ステージを停止させずに連続した加工を行います。
高速かつ継ぎ目が無い加工を実現でき、生産性と加工品質均一化を両立することができます。