オムロンは、製品サプライチェーンのカーボンフットプリント(CFP)の見える化の実証実験を、上腕式血圧計、パワーリレー、スイッチングパワーサプライを生産する国内外工場で3~12月に実施する。
国際標準に準拠した企業間データ連携を想定。日本の製造業として初めて、グローバルデータ流通基盤「Catena-X」に接続し、グローバルデータ流通基盤を活用した生産現場のデータ収集・分析・活用ノウハウの検証も行う。
実験終了後の12月には、成果を盛り込んだ現場データ自動収集、算定標準シナリオ、現場改善シミュレーションのソフトサービスやデータ流通基盤接続支援サービスなどのミニマムバリューパッケージを提供する予定だ。
脱炭素社会の実現に向けた活動の一環。製品の原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で排出される温室効果ガス(GHG)排出量(CO₂換算)のCFP算出に加え、エネルギー使用量の削減と同時にモノづくりの生産性、品質を高めて生産量を増やす「エネルギー生産性向上」を実現するプラットフォームの創出を目指す。
自社や顧客の製造現場で蓄積してきた制御技術、パートナー各社の技術に、NTTコミュニケーションズによるセキュリティーを確保したデータ流通などのIT技術基盤、コグニザントジャパン(東京都千代田区)のソリューションシステム構築力、ソルティスター(長野県塩尻市)の現場データ収集・分析などのOT技術基盤を追加。この3社と共同で実証実験を進める。
各領域で強みを持つ企業と積極的に連携し、幅広い製品サプライチェーンに応用可能なデータ収集の自動化やGHG排出量の算出方法の標準化、現場改善の効率化に取り組み、製造業でのカーボンニュートラル推進に貢献する枠組みを創出していく。
既にアプリケーションでは、遠隔からのリモート接続ソフトウエアでTeamViewerジャパン(東京都千代田区)、産業システムをモバイル端末で監視する制御ソフトでAVEVA(英ケンブリッジ)、ソフト開発プラットフォーム・OS・アプリケーション管理でウインドリバー(米ワイオミング州)、クラウド・生成AI・コラボレーションツールで日本マイクロソフト(東京都港区)、製造実行システム・サプライチェーンの可視化システムでArcstone(シンガポール)と連携。今回の実証実験に組み入れた。
実証実験の全体イメージ
山川健太IABカンパニー商品事業本部i-Automation!事業推進センター長は、実証実験の狙いを「各製品のCFPを継続して改善するためにはさまざまな現場データを安心・安全に収集し、クラウド上で企業間のデータを統合・分析できる環境を整備し、各現場の改善につなげることが重要。生産現場における制御の知見を有し、現場の可視化・分析にも強みを持つ当社が、各領域のプロフェッショナルであるパートナー企業との共創をリードしていく。サステナブルな社会の実現に向け、各社の知見を結集した革新的なエコシステムの創出を目指す」と説明する。
東京ビッグサイトであす2日まで開催中の「IIFES2024」の同社ブースで実証実験の概要を紹介。デモ機やソフト画面も展示している。