株式会社有川製作所様 プレス機への製品セット・取り出し作業の自動化

ロボット導入で
省人化と企業魅力度を向上

お客様と製品を“繋ぐ”
独創性にあふれた“メーカ支援業”

株式会社有川製作所様は、1960年に石川県にて創業以来培ってきたプレス加工技術を強みとし、独創性にあふれた“メーカ支援業”としてプレス加工や金型設計・製造など、多くのメーカのモノづくりを支援しています。自分たちが作る製品を装置に組み込むことで命を吹き込み、製品とお客様を “繋ぐ”ことを理念に、お客様に求められる品質への責任を果たし続けています。また、今後のロボット活用社会を見据え、ロボットエンジニアの育成にも取り組まれています。

株式会社有川製作所

課題

人材確保へ、魅力あるモノづくりの実現

昨今、製造業では人材不足が顕在化しています。とくに、新しいものを生み出し、改善していくための人材の確保は難しく、さらに地方では若いエンジニアの流出もあり、対策が急務になっています。その一因として、現場ではプレス工程などの単調な作業も多く、学生にモノづくりの魅力が伝わりにくい点もあります。
そこで同社では、人材不足 + 企業魅力度アップへの打ち手として「ロボット導入」に目をつけました。ロボットを活用することで学生たちに“ロボットってこんなこともできるんだ” “おもしろそう”と魅力を感じてもらえるのではないかと考えました。
ただ、導入するロボットには二つの条件がありました。一つは汎用的なロボットであること。産業用ロボットでは1台の装置に対して1台のロボットが必要となり、コスト面で合いません。可動式で複数作業ができることが必須条件でした。二つめは今後の自動化展開へ、ロボットシステムを自社で構築し、導入ノウハウを社内に蓄積できることを重視しました。

現場で繰り返し行う危険を伴う手作業

解決策

2台の協調ロボットを導入し、プレス機への製品セットと取り出し作業を自動化。
ロボットシステムの内製化により、社内の人材を育成

2台の協調ロボットを使ったプレス工程の自動化​

可動式の協調ロボット2台を導入し、プレス機への製品セットと取り出し作業の自動化を実現しました。採用ポイントは3つあります。

1. 可動式であること

オムロンの協調ロボット「TMシリーズ」は可動式のため複数の作業を行うことができ、今回のプレス作業以外の自動化にも貢献します。

2. カメラが標準搭載であること

カメラは付属なので取り付け工程が不要。参照点の認識用プレート「TMランドマーク」を読み取らせることで移設時のティーチング作業も迅速に行えて作業精度も一定、高い品質を維持できます。

3. プログラムが簡単であること

専用ソフトウェアツール「TMflow」は、ラダーを使った直感的なプログラムで高度なスキルがなくても簡単に構築可能。立上げ工数削減に貢献しました。

また当初は人の右手と左手のように、2つの“ハンド”で作業をさせようという発想から2台のロボットを導入しました。結果、想定通り1台で行うよりもタクトタイムがアップし、規定内の速さを実現することができました。

成果

対象作業の完全自動化を実現。
省人化と人材育成への貢献

協調ロボットの導入により、省人化においては導入前の作業者1人から無人化を実現しました。また人材育成では、ロボットシステムの内製化で、コスト削減とともに導入ノウハウを社内に蓄積し、今後の自動化についても自社内で計画できるようになりました。
同社取締役の中農様は「最大の成果は、担当者がロボットシステムの技術、“武器”を身につけられたこと」と評価されています。今回の取り組みを通じて、社内全体でロボット活用への参画意識が高まりました。まずは社員からの“おもしろそう”を増やしていくことが企業魅力度を高め、ひいては求める人材から選ばれる企業となる、その一歩を踏み出すことができました。

取り組みポイント

Point.1

作業時間を短縮

「TMランドマーク」の読み込みは初回起動時のみに設定。初回時だけの読み込みでも高い制御を実現し、無駄のないロボットの動線を念入りに検討することで、作業時間を短縮。

カメラが「TMランドマーク」を読み取り、相対的な関係を自動認識

Point.2

視認性の向上

プレス機の金型と製品は似た色のため、製品取り出しの際にカメラがうまく認識しませんでしたが、白パネルを金型側面に設置することでカメラの視認性を向上。

プレス機の背景に白いパネルを設置​

Point.3

高精度な制御

金型のクリアランスは0.02mmと狭く、高精度の位置制御が必要なため、「TMランドマーク」とカメラの位置、「TMランドマーク」と製品の位置と方向などを繰り返し調整して最適位置に設定。さらに金型への製品挿入動作は、人の動作を模倣し5段階動作をさせることで微細な動きを実現。

人の動作を再現し5段階の変化をつけて挿入​

お客様の声

ニーズに合うのは“汎用性”があり
“再現性”があるロボット

「当初は、ロボットは固定で作業を行うイメージがあったので、所定の仕事がなくなった後、活用に困ってしまうのではと思い、固定式のロボットは導入しませんでした。固定式の方が作業スピードは速いのですが、当社は設備に対する作業員が少なく、空いてる設備にロボットを使えるものの方が工場全体での生産性向上が望めると考えました。
また当社は、小ロット多品種生産であるため、様々な段取り替えに対応できる、再現性が高いロボットをずっと探していました。
オムロンの協調ロボット「TMシリーズ」は可動式で、カメラと「TMランドマーク」による位置決め精度の高さも魅力でした。導入の際には販売店の山崎電機様にロボットに関するセミナやワークテストなども行っていただき、これなら導入できると決断に至りました。実際、「TMランドマーク」のおかげで位置設定の時間も削減、立上げ時間を大幅に短縮できました。今後は3Dカメラを使った自動化速度の向上や、コンベアトラッキングなどもできないかと考えています」

株式会社有川製作所 工場長
西様

ロボットの知識やプログラムの経験
“ゼロ”からのスタート

「金型の製作や加工作業を主に担当しているため、ロボットやロボットプログラムなどの知識がほとんどなく、ゼロ状態からスタートしました。プログラムもほぼ独学で習得しましたが「TMシリーズ」の専用ソフトウェアはフローチャート式でとても分かりやすかったです。
ロボットシステムで一番苦労したのは、製品をプレス機に挿入する部分です。クリアランスが狭いため高精度な制御が求められました。一気に製品をプレス機に挿入するとうまくいかず、何度も動作確認を行いながら、人の動作に近づけていくのは大変でした。今回のロボット導入で、システム構築を一人で行えたことで自信がつきました。今後もロボットシステムを活用して様々な装置をつなげて高度な制御をしていきたいです」

株式会社有川製作所 システムエンジニア
森園様

導入支援パートナ

お客様のニーズへ
即座に対応できるサポート体制

今回、ロボット導入を支援された山崎電機株式会社様(石川県)では、お客様にいち早くサポートできるよう、技術サポートチーム体制を整えています。ロボットの他、自動化の実現には欠かせない制御機器や画像処理、安全機器等の技術サポートも対応されています。
有川製作所様はロボット導入が初めてだったため、協調ロボットの説明や、実機を使ったテストデモなどを行いながら進められました。

山崎電機株式会社 ロボットルームでの実機テスト風景