ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社様
3D基板外観検査装置&品質改善支援システム導入事例

品質向上と生産性の両立へ、
生産ラインの中での良品の作り込みを追求

ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社 社屋

ジャパンクオリティでものづくりの変革に挑む
ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社様

同社は1984年に富士通周辺機株式会社として創業、その後、会社分割による事業承継を経て、2018年より新たにジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社(以下、JEMS)としてスタートしました。ODM*・EMS*を軸として、携帯情報端末やコンピュータ周辺装置の開発・製造を行っています。Engineering~Manufacturingまでワンストップで「Made in Japan」にこだわり、現場にIoTを取り入れた先進的な「ものづくり」に挑戦し続けています。

*ODM:Original Design Manufacturing 企画・設計まで含めた製造受託を担う企業
*EMS:Electronics Manufacturing Service 電子機器の製造受託を専門に担う企業

ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社

動画でみる ジャパン・イーエム・ソリューションズ様との共創ストーリー「最終工程に不良を流さない」

課題

複数の検査装置情報を、オンライン端末で集中管理
複数の検査装置情報を、オンライン端末で集中管理

課題 1 後工程に不良を流さない

通常、最終工程で不良が見つかった場合、その不良の修正を行うと共に、前の工程に遡って不良要因の改善をしなければなりません。そこで、JEMSでは、「最終工程に不良を流さない」という考えのもと、比較的修正の容易な工程の途中で軽微な修正を行い、最終工程での不良を減らす取り組みをしています。 この「工程内で良品を作り込む」という方法のもと、JEMSでは、印刷や実装工程を経た直後の検査機のNGに対し、判定者がオンライン端末で確認、必要に応じて即時修正しています。
そのためには、検査装置は適切に「良/不良」を仕分けること。明らかな「不良」を見逃さないことはもちろん、疑わしい「不良」に対しても定量的な根拠をもとに、適切に過剰なくNGとして警告を挙げられることが求められていました。

「高密度で、部品も微細化してくると、0402サイズの部品などは最終工程での修正は難しい。高度な修正の技量が必要になってくるため、リフロー後で修正するより、ライン内で作り込むほうが良いのです」と担当者。集中管理からの指示を受け、実装後工程の脇での修正作業
「高密度で、部品も微細化してくると、0402サイズの部品などは最終工程での修正は難しい。高度な修正の技量が必要になってくるため、リフロー後で修正するより、ライン内で作り込むほうが良いのです」と担当者。集中管理からの指示を受け、実装後工程の脇での修正作業

課題 2 前工程への迅速かつ的確なフィードバック

生産ライン内で良品を作り込むことにより、究極まで「不良率」を抑えたJEMSでは、次なる課題として「スマートファクトリー化」、すなわちM2M*で人を介さず自動で連携し、生産性や品質を向上しながら、コストを削減しようという取り組みを進めています。各工程での検査を単なるOK・NG判定に留めることなく、定量的な検査結果と、製造設備の条件を適切に紐付け、「不良そのものをつくらない」仕組みを構築するものです。通常、製造設備はメーカーごとの“ブラックボックス”(データやファイル形式が異なっていたり、他工程に必要な情報が標準で出力されていないなど)であり、データ連携には大きな障壁となっていました。検査結果を集計し、様々な製造条件を手作業で照合し分析、不良の要因を“経験と勘”で見極め、手直しをかける。この方法では、多品種少量生産の場合、データ分析や改善を行う前に機種が変わってしまい、次の生産ロットからしか修正結果が反映できない“ワンテンポ遅れ”など課題がありました。
莫大な設備投資によって工程の大部分を自動化・機械化すれば、需要変動への迅速な対応と生産性向上を実現できるかもしれません。しかし、顧客ニーズに応え続けるためには採算が取れる投資でなければなりません。
自動化・機械化によって生産性が高まる工程、生産品目の変化に柔軟に対処できるよう人手を残しておいたほうがよい工程を合理的に見極めた生産ラインが求められていました。

*M2M:Machine to Machine
ネットワークに接続された機器同士が人を介さずに相互に情報交換をし、自動制御する仕組み

解決策

オムロンの各検査装置が導入されたJEMSの生産ライン

解決策 1 「印刷後」「実装後」「リフロー後」「X線」各工程ごとに検査装置の拡充

当初、オムロンの2D基板外観検査装置(VT-RNS)と他社の検査装置を併用していました。部品の微細化、高密度実装化への流れが加速し始めたことにより、「工程内で良品を作り込む」運用がJEMS内であらためて注力されるようになりました。そこで、2014年にオムロンの3D基板外観検査装置(VT-S730)がリフロー後に導入されました。部品の微細化、高密度実装化に伴うフィレットレス*化に対応するため、 “高さ”情報は必須でした。
2017年には、実装後、リフロー後のみならず、さらなるデータ連携/活用を目的に、印刷後検査(CKD社製VP6000)および、高速CT型X線自動検査装置(VT-X750)を投入し、複数ラインに拡張、検査情報と製造設備の情報を活用した「不良そのものを作らない」取り組みが加速されていきました(図1)。

*フィレットレス:部品の側面に、はんだフィレットが形成されない表面実装部品

(図1) 各検査工程への検査装置導入のイメージ
(図1) 各検査工程への検査装置導入のイメージ

解決策 2 品質改善支援システム『Q-up System』を導入

そして、JEMSの「スマートファクトリー化」の中で、表面実装工程における各検査装置と製造設備の情報を分析するシステムとして採用されたのがオムロンの『Q-up System』(Q-up Navi と Q-up Auto にて構成)でした。
まず、『Q-up Navi』で各検査工程の結果を1画面で照合し、不良の要因の目付をします。例えば、X線検査でNGの場合、印刷の状態がOKであれば、その後の工程で何が問題だったのか…と確認を進めます(図2)。JEMSでは「後工程に不良を流さない」運用のため、実装後検査が検出した不良の要因をいち早くラインの中で見極め、早急に手を打つことが求められます。 『Q-up Navi』はこの運用を、データの「見える化」によって支援する仕組みです。

  • (図2)「印刷後」「実装後」「リフロー後」「X線」それぞれの検査結果を部品単位で照合。検査データからどこの工程が不良の要因となったかを見極める
    (図2)「印刷後」「実装後」「リフロー後」「X線」それぞれの検査結果を部品単位で照合。検査データからどこの工程が不良の要因となったかを見極める
  • (図3)実装後検査のNG情報を元に、その時のマウンタの状態を表示
    (図3)実装後検査のNG情報を元に、その時のマウンタの状態を表示
  • (図4)品質管理の鍵となる情報を監視し続け、不良発生の要因となる傾向が見られると警告
    (図4)品質管理の鍵となる情報を監視し続け、不良発生の要因となる傾向が見られると警告

さらに品質に関わる状態を常に監視し続ける『Q-up Auto』が、実装後検査のNG情報に対し、特定ノズルでの「異常」を警告します。このシステムは、オムロンとマウンタメーカがJEMSの現場を介して相互に情報をオープンにし、連携することで実現しています。これにより、どの要素が不良の要因であったかをより迅速に特定しやすくなりました。従来は“この不良だったら、ここが要因だろう”と推察しながら対策を実施していたのに対し、 現在は“この部品、搭載位置、このフィーダ番号、このノズル”までの具体的な情報が表示されるため、すぐに対策ができます(図3)。
また『Q-up Auto』はオンタイムで起こっている「事象」を捉え、不良傾向の状態を警告する(図4)ため、不良の発生防止にもつながります。

成果

「『Q-up Auto』のデータと事象を用い、現場のリーダーと関連メンバーで議論し、改善活動を進めています。今後、『Q-up Auto』の仕組みがデータとして蓄積されることで、不良とその要因の紐付けが完全にロジック化されていくといいですね」
「『Q-up Auto』のデータと事象を用い、現場のリーダーと関連メンバーで議論し、改善活動を進めています。今後、『Q-up Auto』の仕組みがデータとして蓄積されることで、不良とその要因の紐付けが完全にロジック化されていくといいですね」
製造統括部 第四製造部
原田 勝也様

最終工程での直行率*は99.5%、
不良率*は1ppm以下に

3D基板外観検査装置の導入により、検査装置としてのカバレッジが拡大。従来は、検査装置+目視検査員の介在により判定を完了させていたものが、検査装置のみで検査対象箇所を100%カバーできるようになりました。
また、定量的な判定基準により、最終工程での「虚報*」の減少とともに「直行率」が向上しました。「工程内で良品を作り込む」方法が定着し、品質は高い水準で維持できています。
検査装置担当者からは“高さ”情報を活用することで検査プログラムの調整工数が大幅に改善できたという声もあがっています。

*直行率:投入した基板が「良品」として製品になる比率
*不良率:全生産数における不良個所の割合。PPM(Parts-Per-Million)で表される
*虚報:検査装置がNGと判定したものの、実際はOK品(見過ぎ)であること

「実際、PCBA製造は“バラツキのかたまり”。はんだ、部品、様々な複合条件が絡み、どのレベルまで許容できるのか…。 経験則による目付では限界があり、複合的な条件・バラツキが重なって不良になる“点”を見極めるのは難しいです」
「実際、PCBA製造は“バラツキのかたまり”。はんだ、部品、様々な複合条件が絡み、どのレベルまで許容できるのか…。 経験則による目付では限界があり、複合的な条件・バラツキが重なって不良になる“点”を見極めるのは難しいです」
製造統括部 第四製造部
部長 安福 完城様

約15%の工数削減「活人化」に成功

『Q-up System』の検査結果とマウンタ情報の関連付けなどで、発生不良に対する改善に取り組み、ラインの中での作り込み品質の向上、虚報の低減により、検査工数が削減でき、活人化に繫がりました。さらに、不良ゼロに向けて、不良になるかどうかの「傾向」を継続的に監視することが必要となりますが、監視し続けることは、人には困難です。これを、『Q-up System』の蓄積データ・情報活用により、 “予兆”として捉えて的確に教示することで、より大きな成果につなげています。

お客様の声

「スマートファクトリー化の取り組みにおいて、他社と連携することで、自社メンバ内にも化学反応による効果があったことを実感しています」
「スマートファクトリー化の取り組みにおいて、他社と連携することで、自社メンバ内にも化学反応による効果があったことを実感しています」
ビジネス推進統括部スマートファクトリー推進室 室長
兼 事業支援統括部システム推進部 部長
築山 浩二様

M2Mパイオニアという誇り、JEMSの挑戦

ビックデータの活用という課題に対し、オムロンの知見、ノウハウを合わせることで、JEMSとしても今まで見えなかった新たな見え方や知見が生まれ、様々な製造準備、ひいては製品設計に良い影響が出ています。データ活用により、社内メンバーのものの見方や分析の仕方もスキルアップし、スマートファクトリー化を推進していく上で内部的な効率化、無理無駄の見える化につながりました。
今年3月に4社協業(株式会社FUJI、株式会社富士通九州システムズ、JEMS、オムロン)を発表して以来、M2Mシステムは実践の場で着実に成果をあげています。M2Mを率先して推進しているのがJEMSであり、この強みを活かして今後、車載、アミューズメントといった様々な業界にもチャレンジしていくことができると考えています。