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使用上の注意

絶縁変圧器がある場合

受電設備に絶縁変圧器がある場合は、接地補償用コンデンサなどをご使用ください。

・特別高圧系統から受電し6,600Vあるいは3,300Vに降圧(6,600V/3,300Vの降圧を含む)して構内配電されているところでは受電設備に変圧器が入っています。この場合、変圧器から高圧負荷までの対地容量は非常に小さくしかも電力会社の配電線からも絶縁されてしまうため、地絡事故時に地絡電流が流れず継電器は動作不能となります。

・その対策上、変圧器と零相変流器設置点の間に対地静電容量を接続する必要がありますので、その場合には接地補償用コンデンサなどをご使用ください。なお、接地は第1種接地とし継電器の整定値は0.4A以下にしてください。

接地のとり方

①零相変流器の接地

・零相変流器ZCTは一点接地にしてください。

・下図のように、ZCT回路はl側で接地しますので継電器端子Z2では接地しないでください。

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・k-lの配線にシールド線を使用する場合も、l側の接地点でしゃへい層を接地してください。

②6kVしゃへい層の接地

(参照:高圧受電設備指針 第3節3-3-5)

・2点接地や電源側での接地はしないでください。

・ケーブルの接地は(1)のように負荷側でとってください。電源側でとる場合も、(2)のようにZCTを貫通させてから接地します。

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使用環境について

・標高2,000m以下でご使用ください。

・異常な振動、衝撃、傾斜のない状態でご使用ください。

・有害な煙やアンモニア等のガス、爆発性のガス、過度の湿気、水滴や蒸気、麈埃や風雨にさらされる状態での使用を避けてください。

・麈埃、鉄粉等のある場所ではケースを開かないようにしてください。

・湿気、麈埃の少ない場所に保管してください。

配線

・零相変流器ZCTの試験端子kt、ltは試験時のみに使用し、試験後は開放しておいてください。また、盤表面に試験端子を設けておくと保守上便利です。

・継電器に接続しない場合は、ZCTのk、l端子は必ず短絡しておいてください。

・ZCT 2次側の配線の際は誘導障害にご注意ください。

・しゃ断器の引きはずしコイルは、接地側でない方を継電器のa接点端子に接続してください。

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・ZCTとトリップ回路の配線に(4芯コード等の)同一ケーブルは使用しないでください。

・電線の耐久性、絶縁性への影響を少なくし長時間事故なくご使用いただくため、ZCTの貫通電線については次の点にご注意ください。
 曲げの限界Rは次表のとおりです。

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高圧引込みケーブルの長さ

構内高圧ケーブルが次表「ケーブルこう長限界目安」を超える場合は、オムロン 形K2DG デジタル形地絡継電器をご使用ください。

・高圧地絡継電器は地絡事故の判別を電流の大きさのみで行うため、構内高圧ケーブルのこう長が長くなり対地充電電流が大きくなると保護範囲外の地絡事故により誤動作することがあります。この誤動作を防止するために、継電器の整定値IRは次式を満足するものでなければなりません。
 IR ≧KIC
 ただし
  IR:継電器の整定値
  IC:構内対地充電電流
  K :定数(≧2)*

*定数は、充電電流の計算誤差、残留分、ケーブル地絡事故時などの異常波形入力に対する動作誤差、およびその他の継電器誤差などから求まる安定係数で一般にこの値は2以上にとる必要があります。

・下図に、引込みケーブルとしてCVケーブルを使用したときのケーブルの太さ、こう長、3線一括の対地充電電流、および継電器整定値の関係を示します。

・配電線の静電容量については下表をご参照ください。

・また下表は、上式から算定したCVケーブルの場合のこう長限界の目安です。

電力会社の地絡継電器や配電線容量などとの関係から、継電器の整定値が上式を満足する値にできない場合があります。このような場合には、形AGF高圧地絡継電器では誤動作することがありますので、方向性を有するオムロン 形K2DG 地絡方向継電器をご使用ください。
なお、詳細は日本電気協会発行「高圧受電設備指針」第3節「地絡保護協調」をご参照ください。

ケーブルこう長限界目安(6.6kV CVケーブル)

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ケーブルの静電容量一覧表

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誘導障害対策

零相変流器と継電器を結ぶ信号線は外部の状況に影響を受けやすいので、配線の際は次の点に十分ご注意ください。

①静電誘導の障害と対策

ZCTと継電器間の配線が10mを超える場合にはシールド線をご使用ください。

・大地から絶縁されているA、B 2本の電線があってA線に交流の高圧が加わっている場合、A-B間の静電容量C1とB-大地間の静電容量C2により、B線にはC1、C2で分圧された電圧が誘導されます。

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6kVケーブルの場合は、芯線の周囲にしゃへい層があって、これが接地されますのでB線は誘導を受けません。

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・しゃへい層のない3kV ケーブルが10m 以上にわたって並行する場合は、B線にはシールド線を使用し、しゃへい層を接地してください。

②電磁誘導の障害と対策

電磁誘導による誤動作を防ぐため、ZCTと継電器間の配線は単独配線としてください。

・A、B両線が近接している場合、A線に電流が流れると、右ねじの法則による磁束が生じB線に誘導電流が流れます。低圧大電流幹線をピット・ダクトなどで近接並行して配線する場合にはこの現象が顕著なため注意が必要です。

・電磁誘導障害を防止するためA-B間を鉄板でおおうか、B線を電線鋼管に入れるなど両電線間を電磁的にしゃへいしなければなりません。A線と逆位相の電線が近接していたり、2芯以上のケーブルのようにより合わせてある場合は影響は少なくなります。数百アンペアの幹線において、各相の電線と信号線が10cm以内に近接し、かつ10m以上並行している場合にはこの対策を必要とします。

③誘導障害の判定方法

継電器の整定値を0.1Aに整定し、Z1-Z2間をデジタルボルトメータ、真空管電圧計またはシンクロスコープで測定してください。
5mV以上であれば誘導障害の対策が必要です。
(継電器の動作レベルは0.1A整定で約10mV)

ラッシュ電流

ラッシュ電流が考えられる場合は、定格電流の大きなZCTをご使用ください。

100A定格の負荷でも、ラッシュ時には数倍(500~600A)の電流が数サイクル流れることがあり、ラッシュ電流が長時間流れると、定格負荷ぎりぎりのZCTでは誤動作することがありますのでご注意ください。

しゃ断器三相投入不揃い

(高圧受電設備指針 第3節3-3-5)

しゃ断器三相投入不揃いの場合、誤動作することがありますのでご注意ください。

・地絡継電器の動作として、JIS C 4601で慣性特性を規定しています。すなわち、整定値の400%の零相過電流を50ms通電しても地絡継電器が動作してはならないという規定です。
三相投入不揃いの時間が著しく長いと、みかけ上零相電流が流れたことに相当し誤動作の原因になります。

・三相投入不揃いは50ms以下に抑えてください。

形AGF地絡継電器

試験スイッチによる試験方法

(零相変流器と組み合わせて試験する必要はありません。)

① 制御電源端子P1、P2間にAC110Vを印加してください。

② 試験スイッチを押してください。

③ 動作表示部がオレンジに変わり接点が動作します。
      注. 復帰方式による接点動作は下記の通りです。
        自動復帰の場合:動作時間のみON
        手動復帰の場合:復帰レバーを押すまでON

④ 試験後ケース前面右下の復帰レバーを押し上げ、復帰させてください。(この試験スイッチは継電器内部の回路が正常であるかをチェックするためのもので、周辺機器および配線のチェックではありません。)

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現場での動作特性試験

現場での動作電流試験配線図、動作時間試験配線図、試験方法と判定基準を下記に示します。

・本試験を行う場合、主回路は必ず停電していることを確認の上、実施してください。

・下記試験回路例は市販のGR試験装置を使った事例です。市販の試験装置の取扱いについては各試験機メーカーへお問い合わせください。

動作電流試験配線図(形AGF-1-R2の場合)

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動作時間試験配線図(形AGF-1-R2の場合)

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動作時間試験配線図(形AGF-2-R2の場合)

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*リレー試験機は接点入力でお使いください。

試験方法と判定基準

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保守・点検

形AGF 高圧地絡継電器は信頼性の高い半導体素子を採用しているため動作は安定していますが、定期的に次の点検をしてください。

①機械的点検

・端子のねじのゆるみ

・動作表示器の点検

②電気的点検

試験スイッチを押して、継電器の動作としゃ断器のしゃ断試験をしてください。