ファクトリーオートメーション(FA)とは?
工場自動化実現のポイントを解説
製造業では、人材不足の解消や生産性の向上、品質の安定化などを実現するためにファクトリーオートメーション(FA)を進める企業が増加しています。FAの導入が加速するにつれて、実現のカギとなるロボットや制御機器の開発も活発になっています。
ここでは、FAの意味やFA導入のメリット、また、FA実現のカギを握るロボットについて解説します。またロボットを導入する際の流れ、導入時に注意すべきポイントについてもご紹介します。
ファクトリーオートメーション(FA)とは

ファクトリーオートメーション(FA)は、工場を自動化することを意味します。生産工程における材料の加工や部品の組み立て、製品の運搬に加え、管理業務が代表的な対象範囲となります。
FAは1950年頃から取り入れられはじめ、1965年頃に産業用ロボットの実用化、1970年代にセンサ情報を元にフィードバック制御を行うロボットが開発されました。
2000年代には、インダストリー4.0というコンセプトが登場しています。インダストリー4.0は、AIやIoTといった技術を活用し、FAの実現に繋がる製造プロセスの改善や生産の効率化を目指すというものです。制御機器やロボットなどのハード面と、管理・制御システムなどソフト面双方の技術の進展により、FAの目指すあり方も高度化しています。
FA導入のメリット

FA導入には、さまざまなメリットがあります。代表的なメリットを4つ紹介します。
人件費の削減
従業員を採用・教育・継続雇用するコストは上昇しています。
国内だけではなく、海外の生産工場でも、経済発展などの影響で従来よりも人件費が上昇しており、負担が大きくなっています。人件費削減を実現する選択肢としてあげられるのが、「FAによる業務の自動化」です。
人為的ミスの排除
人手作業は、一定割合でミスの発生可能性があります。不良製品流出を防ぐには、ダブルチェックを行うなどミス低減の仕組みを構築する必要がありますが、こういった対策は作業効率の悪化に繋がります。
自動化することで「工程内の業務自動化によるミス発生の低減」と、「検査工程の自動化によるダブルチェック人員の削減」どちらも実現することができます。
また、作業者違いによるばらつきを低減でき、不良品の出荷を防止できるため、出荷する製品の品質維持・向上が可能です。
作業者の安全確保
工場では、重量物の運搬・危険物の取り扱いなど身体に負荷をかける作業や、騒音・異臭など過酷な環境下での作業が発生します。
また、生産設備の誤操作がけがにつながる可能性もあります。
FAの導入を進めることで、危険・過酷な生産活動から作業者を解放して安全性を確保でき、従業員満足度の向上にも貢献します。
生産効率の向上
特定の業務は、作業者が行うよりもロボットや機械で自動化したほうが効率よく正確に行うことが可能です。
作業者は連続して長時間作業し続けることはできませんが、ロボットや機械の場合、均一な作業効率での稼働が可能です。また、協働ロボットであれば移動が可能であり、日中人間が作業していたラインに協働ロボットを配置することで、夜間ロボットに自動で稼働させることが可能です。
また、一度導入すれば人材のように流動する可能性がなく安定的に稼働でき生産効率を向上させることが可能です。
FA実現のカギとなる「ロボット」

FAの実現にあたっては、現在自動化されていないラインのうち、自動化できそうなポイント・自動化しやすいポイントをみつけ、まずは一部分から自動化を進めていくことが望ましいです。ロボットは、一部分の作業を代替することから始められます。
産業用ロボットにはさまざまな種類のロボットハンドがあり、塗装や溶接などの前工程から、組立や箱詰めなどの後工程まで幅広い工程の自動化に対応しています。
特に、近年注目されている協働ロボットは、産業用ロボットの一種ですが安全柵が不要で導入に広いスペースを必要としないため、ロボット設置のための設備改築は不要です。また、導入に設備変更を必要としない種類の自律走行搬送ロボット(AMR)も、工程自動化の手始めに最適です。
FAを実現するために必要な流れと注意すべきポイント
これからFAを実現したいと考えている担当者の方に向けて、FAを実現するための流れと注意すべきポイントを解説します。
FAを実現するために必要なロボット導入の流れ
FAを実現するためには、まずロボット導入によって実現したいこと=要望や、解決したい課題を明確にする必要があります。工場の生産ラインを確認しながら、関係者と時間をかけてコミュニケーションを取ることが重要です。
明確化した要望に基づき、ロボットの仕様を固めていきます。ロボットの仕様を決定する際は、カタログスペックを確認するだけでなく、実機動作を確認することを推奨しています。ロボットの販売店やロボットメーカーは実機デモを行っています。実機の動作を確認することで、仕様やロボットメーカー選定に必要なイメージの具体化を進めます。
ある程度導入したいロボットが明確化した段階で、SIer(システムインテグレータ)に見積もりを依頼します。SIerによるロボットや周辺機器、制御機器を含んだシステム全体の設計や見積もりを確認し、仕様やコストに関する合意ができれば、実際に製造現場への導入を進めていきます。
導入完了したら運用開始です。導入後には、労働安全衛生法に定められた定期点検や保守点検を行う必要があります。
ロボットを導入する際に注意すべきポイント
ロボットをラインに導入するためには、ロボットだけでなく、安全機器やその他の周辺機器を揃える必要があります。ロボット導入による自動化の効率を最大化するには、ハード面だけでなくソフト面双方の視点から、前後の工程・ライン全体を最適化することが有効です。
また、ロボットのティーチングや検査を行うには安全衛生特別教育の受講が必要です。導入後もメンテナンス体制を確保する必要があります。
オムロンは、産業用ロボットや協働ロボット*・自律走行搬送ロボット(AMR)に加え、周辺機器や安全機器などのさまざまな制御機器を取り揃えており、ライン全体の自動化をご支援します。
また、ロボットを導入する前に、実際のロボットがどのように動くのかを確認できるテスティングや各種セミナ、導入後の定期点検や障害が発生してしまった場合の速やかな復旧、定期的な点検などを行う保守契約にも対応しています。
- *オムロンは、「人と機械の新しい協調」を実現するロボットとして、協働ロボットの商品名称を「協調ロボット」としています