コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)とは?
人とロボットの協働がイノベーションを生む
人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)といったデジタル技術が急速に新たな価値を生み出しています。2017年3月に経済産業省より、先進的なデジタル技術によって次世代ビジネスを導こうという国家戦略「コネクテッドインダストリーズ」を打ち出しました。
コネクテッドインダストリーズとは、デジタル技術であらゆる要素を繋げることで新たな価値を生み出していく構想で、その戦略の重要な分野が「人とロボットの協働」です。人とロボットが支え合いながら同じ空間で共に働き、課題解決や新たな価値観を生み出すコネクテッドインダストリーズとはどのようなものなのでしょうか。
コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)とは
日本を支えてきたモノづくりは、変革の時期を迎えています。日本は少子高齢化や労働力不足といった社会的課題を抱えており、その影響はモノづくりの現場にも及んでいます。AIやIoTの活用は社会的課題を解決するために有効な手段ですが、十分に浸透していない現状があります。こうした産業界の動きに対して、経済産業省は日本の産業の目指す姿を支援していく戦略「コネクテッドインダストリーズ」を打ち出しました。この戦略は以下の3つの柱で構成されています。
・人と機械・システムが対立するのではなく、協調する新しいデジタル社会の実現
・協力と協働を通じた課題解決
・人間中心の考えを貫き、デジタル技術の進展に即した人材育成の積極推進
コネクテッドインダストリーズが目的としているのは「人、モノ、技術、組織などがつながることによる、新しい価値創出と社会課題の解決を目指す産業のあり方」です。そこで経済産業省は次の5分野を注力分野に挙げています。
・ものづくり・ロボティクス
・自動走行・モビリティサービス
・バイオ・素材
・プラント・インフラ保安
・スマートライフ
5分野の中でも、ロボットは日常生活やモノづくりのさまざまなシーンで人間を助け共存する存在になっていくものです。製造業の現場ではすでに、産業用ロボットの活用によって、単調な作業や重労働の省力化、労務にかかる費用の削減に成功しています。業務の効率化が進むことで、生産性向上、労働力の確保といった社会的課題を解決する扉を開いています。
コネクテッドインダストリーズ実現に注目を集める「協働ロボット」
自動車や精密機器などの生産現場では、人間と協力しながら共同で作業する「協働ロボット」が採用され、人とロボットとの共存が普及しつつあります。

従来の産業用ロボットは周囲の安全を確保するために柵で囲われ、人間と隔離された場所で作業を行っていました。協働ロボットは安全柵なしに同じ空間で人間とロボットが作業でき、人とロボットとの相互作業やそれぞれの強みを生かした作業を行うことが可能となりました。単調な繰り返し作業、重量物の搬送など負荷の高い労働をロボットが担い、作業者の負荷軽減や業務の効率化、生産性の向上に繋げます。その一方で、ロボットでは判断できないレベルの細かな検品作業や確認チェック作業は人間が担当します。
人間の長所を生かしつつ不得手な部分をカバーする協働ロボットの活用は、コネクテッドインダストリーズが目指している一つの理想形であるともいえます。
協働ロボットの導入ステップ
協働ロボットの生産ラインへの導入は、まず協働ロボットが「何ができるか」を知り、次に「そのためにはどういう手順が必要か」を検討するというステップで進めます。
検討段階
まずは各ロボットがどのような機能・特長を持つのかを調べます。カタログなどの資料を読んで概要をつかみ、さらに体験会やセミナに参加することで、各ロボットの導入効果に対する理解を深めることができます。
国内4ヵ所に拠点を持つオムロンの「オートメーションセンタ」では、現場で扱っている実際のワークを持ち込み、実機で動作を試すことができます。
導入段階
導入イメージを固めたら、具体的な導入計画をまとめます。社内にロボット導入技術者が不在の場合、導入にはロボットSIerが必要となります。 SIerの支援を受けながら、現場にロボットを導入し、動作を確認します。オムロンでは地域や自動化作業内容に合わせたSIerと連携し、現場の状況をヒアリングした上で、具体的な設計とシステム構築支援を行っています。
運用段階
導入を終え、運用が始まった後でも、より大きな効果を得るためには活用法を逐次ブラッシュアップしていくことが重要です。またロボットの運用には安全教育が欠かせません。オムロンでは、安全教育やロボットのプログラミングなどのセミナコースを用意しています。
オムロンでは、産業用ロボットや協働ロボット*だけでなく、周辺機器・安全機器も取り揃えており、ロボットSIerと連携した最適なライン全体の自動化を支援します。また、導入から運用まで手厚いサポート体制を整えています。
- *オムロンは、「人と機械の新しい協調」を実現するロボットとして、協働ロボットの商品名称を「協調ロボット」としています
「Connected Industries」(経済産業省 2020年12月23日)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/connected_industries/)をもとに編集・作成