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この記事は、2017年12月28日に記載された日経テクノロジーオンラインからの転載記事です。

AI×IoTで加速するモノづくり革新現場発の最も“リアル”なアプローチ

AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)などの革新技術とともに進む「第4次産業革命」。この大きな流れの先を読むオムロンは、「integrated(制御進化)」「interactive(ヒトと機械の新たな協調)」「intelligent(知能化)」の3つの柱から成るビジネス・コンセプト「i-Automation!」を打ち出すとともに、新たなIoTサービス基盤「i-BELT」を構築。これをベースに現実的なAI、IoT、ロボティクス活用を提供することでモノづくりの現場における革新を支援する。

高齢化や消費者ニーズの多様化などを受けて、モノづくりの現場を取り巻く環境が大きく変わりつつある。例えば生産拠点のグローバル化などを背景にした「作る“場所”の変化」。多品種少量生産に代表される「“作り方”の変化」。熟練技術者の高齢化や外国人労働者の増加などによる「作る“ヒト”の変化」などである。これらの変化に伴って浮上する様々な課題を解決するために、従来の仕組みを見直すことを迫られているモノづくりの現場は着実に増えている。

こうした状況を受けて、オートメーションのパイオニアとして知られるオムロンが打ち出した新たなビジネス・コンセプトが、i-Automation!である(図1)。先頭の「i」はinnovation(革新)を表しており、独創的なアプローチによってオートメーションの世界で革新を起こすというオムロンの強い意志を表現している。i-Automation!を実践するための具体的なアプローチを示す3つのキーワードが「integrated」「intelligent」「interactive」である。

integratedは、制御システムの進化を示す。ここで言うintegratedは、制御機器を統合し、擦り合わせることを表現している。つまり現場のニーズと機器の機能を制御技術によって適切に結びつけ、これまで不可能とされてきた制御を実現しようという取り組みだ。例えば、搬送機を高速で動かした場合に不要な振動が発生する。機構系をしばらく静止させておけば、この振動は収まる。だが搬送に余計な時間がかかり、生産性の低下を招く。こうした振動をモーション制御の技術で抑えることを可能にしている。また、モノが面にぶつかる瞬間にかかる衝撃を抑える「やわらか制御」や、超高速で動作する2系統の機構系の動きを同期させる高速同期制御なども制御による擦り合わせの例である。いずれも制御システムにソフトウェアの形で実装する制御モジュールとしてオムロンが提供している技術だ。同モジュールの種類は枝番を含めると、すでに200種類を超えている。

interactiveは、人と機械とが協調し、それぞれの特性を補完しながら現場の作業を最適化するという新しい考え方を指す。オムロンが買収した米Adept Technology社の搬送用ロボット「モバイルロボットLD」は、これを実現する技術の一つだ。AIを搭載しており、人や物にぶつからないよう自律的に移動する。

図1 オムロンが推進するモノづくり革新のコンセプト「i-Automation!」