IIFES2024 メディア記事

オムロンキリンテクノシステム ペットボトル検査を自動化
オフライン検査 AIが作業提案・指示

提供 :電波新聞社 掲載メディア :電波新聞

この記事は、2024年02月12日に電波新聞 朝刊5面に掲載された記事「オムロンキリンテクノシステム ペットボトル検査を自動化 オフライン検査 AIが作業提案・指示」を転載して紹介します。

オムロンのグループ会社で検査機メーカーのオムロンキリンテクノシステムは、ペットボトルの抜き取り検査(オフライン検査)を自動で行う検査機の開発を進めている。ロボットと制御技術の活用に加え、検査データをもとにAI(人工知能)が作業提案・指示を行うのが特徴。将来的には製造設備へのフィードバックにより自動最適制御に進化させる方針だ。

現在、飲料ラインの品質検査は熟練技能工が製品の状態や検査・製造設備データから製造設備のパラメーター設定を調整。定期的に製品を抜き取り、人手による品質チェックを実施している。

開発を進めている検査機はペットボトルの人手検査を自動化するもの。開発の方向性は3段階で設定した。レベル1は検査データをマネジメントデータ化し、状況を見える化。レベル2は製造設備データとひも付け、AIが作業員に提案・指示する。

将来構想のレベル3は作業提案の精度を高め、製造設備を自動制御。2年後をめどにパラメーターの自動設定により、ラインで不良ゼロを目指す「ゼロディフェクト」を実践する方針だ。

レベル1と2をクリアしたデモ機を、オートメーションと計測の総合展「IIFES」(主催は日本電機工業会、日本電気制御機器工業会、日本電気計測器工業会。東京ビッグサイト、会期=1月31日からの3日間)のオムロンブースに展示した。

細川代表取締役とデモ機
細川代表取締役とデモ機

デモ機はペットボトルの良品成形のために状態を数値化し、そのデータをAIが解析。ブロー成形機の最適なパラメーターを掲示し、オペレーターに作業指示を行う。熟練技能工の勘やコツに依存していた作業を自動化し、オペレーターの負担を軽減する。

検査ではペットボトルを360度回しながらノンストップで撮像する。ここにはオムロンの6軸ロボット、制御技術を活用。アームの先端にカメラを設置し、底部や刻印(型番)などを撮像。変位センサーがペットボトルの厚みを計測する。

また、ペットボトルの厚さが薄くなると白化という現象が起きる。今回の検査機は紫外光を用いて白化を検査する。

検査結果は、モニターにペットボトルの箇所ごとの測定結果が表示され、要調整や要注意などが色で表示される。また、調整では首肩部、胴部、全体バランスで、熱や圧力などの調整幅が表示される。

今秋初号機納入へ

2月1日の会見で、細川浩延代表取締役は「お客さまごとに検査ニーズは異なるので、要望を聞きながら作り込むが、今秋には初号機を納入したい。オムロンの販路を用いて海外にも販売していきたい」と抱負を述べた。

製造ラインの中にはベテランの技能工による作業が多く残る。今回の検査機と同様に、AIや自動化の技術を駆使して課題解決を進めていく考えだ。