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ソリッドステート・リレー 共通の注意事項


ソリッドステート・リレーは、半導体を使った無接点リレーで、高速高頻度動作が可能です。ここではソリッドステート・リレーの共通の注意事項を説明します。

共通の注意事項 

関連情報



各商品個別の注意事項は、各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。

注意

通電中や電源を切った直後SSR の本体および放熱器に触れないでください。
本体/放熱器は、高温になっているため、火傷の原因となります。

電源を切った直後に、SSRのLOAD端子に触れないでください。
内蔵スナバ回路に電荷が充電されているため、感電の原因となります。

端子カバーのあるSSR は必ず端子カバーを取りつけてご使用ください。
充電部への接触は感電の原因となります。

配線を行う場合には必ず電源を切った状態で行ってください。
感電する場合があります。

SSR の負荷側に短絡電流が流れないようにしてください。
短絡電流が流れた場合、SSRが破裂する場合があります。

安全上の要点

当社は、品質・信頼性の向上に努めておりますが、SSRには半導体を使用しており、半導体は一般的に誤動作したり、故障することがあります。その際、故障モードとしては、ショート故障(短絡故障)がほとんどであり、負荷の遮断不能の原因となります。
従って、SSR を使用した制御回路でフェールセーフを考える場合、負荷電源をSSRのみにて遮断する回路ではなく、負荷電源側に設置したコンタクタあるいはブレーカにより、SSR異常時に負荷を遮断する回路としてください。特に定格範囲外でご使用にな
ると安全を保てない恐れがありますので、必ず定格範囲内でお使いください。SSRをご使用いただく場合には、SSRの故障によって結果として、人身事故・火災事故・社会的な損害を生じさせないよう安全を考慮した、システムとしての冗長設計・延焼対策設計・誤動作防止設計などの安全設計に十分ご留意ください。

  1. SSRの各端子部に定格以上の電圧・電流を印加しないでください。
    SSRの故障および焼損の原因となります。
  2. 放熱について
    ・自己発熱による周囲温度の上昇に気をつけてください。
    特に盤内取りつけの場合は、外気との換気が十分行えるようファンなどを取りつけてください。
    ・指定の取りつけ方向にて取りつけてください。本体の異常発熱により出力素子のショート故障、焼損の原因となります。
  3. 配線は、下記に従って正しく行ってください。
    配線が不完全な状態で使用されますと通電時の異常発熱により焼損の原因となります。
    ・負荷電流に見合った電線をご使用ください。電線の異常発熱により、焼損の原因となります。
  4. 使用条件について
    ・定格範囲内の負荷を選定ください。誤動作、故障、焼損の原因となります。
    ・定格周波数範囲内の電源をご使用ください。誤動作、故障、焼損の原因となります。
  5. 下記状態での輸送は、故障や誤動作、特性劣化の原因となりますので避けてください。
    ・水がかかった状態
    ・高温・高湿の状態
    ・梱包していない状態
  6. 使用環境および保管環境について
    下記の状態での使用および保管は故障や誤動作、特性劣化の原因となりますので避けてください。
    ・直射日光があたる場所。
    ・周囲温度が各個別規定の範囲を超える場所での使用。
    ・相対湿度が45~85%RHの範囲を超える場所、温度変化が急激で結露するような場所での使用。
    ・周囲温度が各個別規定の範囲を超える場所での保管。
    ・腐食性ガスや可燃性ガスのある場所。
    ・塵埃・塩分・鉄粉が多い場所、塩害のある場所。
    ・本体に直接振動や衝撃が伝わる場所。
    ・水・油・薬品などの飛沫がある場所、雨水・水滴のかかる場所。
    ・高温・高湿の場所。
使用上の注意

SSRをご使用になる前に

  1. SSRを実際に使用するにあたって、机上では考えられない不測の事故が発生することがあります。そのため、実施可能な範囲でのテストが必要です。例えば、SSRの特性を考える場合には、常に個々の製品のばらつきを考慮に入れることが必要です。
  2. カタログに記載の各定格性能値は、特に明記のない場合は、すべてJIS C5442の標準試験状態(温度15~30℃、相対湿度25~85%Rh、気圧86~106kPa)のもとでの値です。実機確認を実施される際には、負荷条件だけでなく使用環境も使用状態と同条件で確認する必要があります。

入力回路に関して

●入力側の接続について

SSRの入力インピーダンスにはバラツキがありますので、複数での入力の直列接続は避けてください。誤動作の原因となります。

●入力ノイズについて

SSRは、動作時間および動作に要する電力が極めて小さいため、INPUT端子へのノイズを抑える必要があります。ノイズが入力端子へ印加されると、誤動作の原因となります。
以下にパルス性ノイズと誘導性ノイズへの対策例を記述します。

①パルス性ノイズ

C、Rでノイズを吸収すると効果があります。下図は、フォト・カプラ方式のSSRについてC、Rを選定するためのものです。

SSRの入力電圧を満足させるためにRは電源電圧Eとの関係にて上限が決定されます。
また、Cが大きくなると、Cの放電のために復帰時間が長くなります。
上記2点に注意してC、Rを決定してください。

注. 低電圧仕様においては、内部インピーダンスとの関係上、SSR に十分な電圧が印加されないことがあります。
  Rの値については、SSRの入力インピーダンスをご確認の上、ご選定ください。

②誘導ノイズ

入力ラインは動力線と併設しないでください。誘導ノイズによりSSR誤動作の原因となります。誘導ノイズによりSSRの入力端子に電圧が誘起している場合には、ツイスト配線(電磁誘導)・シールド線(静電誘導)によって、SSRの入力端子への誘導ノイズによる誘起電圧をSSRの復帰電圧以下にする必要があります。
なお、高周波機器からのノイズに対してはC、Rによるフィルタを付加してください。

●入力条件について

①入力電圧のリップルについて

入力電圧にリップルがある場合、ピーク電圧は使用電圧の最大値以下に谷電圧は使用電圧の最小値以上に設定してご使用ください。

②漏れ電流対策

トランジスタ出力またはSSR出力でSSRを駆動した場合、オフ時のトランジスタの漏れ電流により復帰不良になる場合があります。
対策方法として、下図のようにブリーダ抵抗Rを接続し、ブリーダ抵抗Rの両端にかかる電圧EがSSRの復帰電圧の1/2以下になるように設定してください。

ブリーダ抵抗Rは次の式で求めます。

E :ブリーダ抵抗Rの両端にかかる電圧=SSR復帰電圧の1/2
IL :トランジスタの漏れ電流
I :SSRの復帰電流

SSRの復帰電流値そのものはカタログに記載されていませんのでブリーダ抵抗値を計算する場合には次の式で求めます。

定電流入力回路のSSR(形G3NA、形G3PA、形G3PB等)については0.1mAで計算します。

次に形G3M-202P DC24を例に計算します。

③開閉ひん度

SSRには動作・復帰時間という遅れ時間が存在し、負荷(誘導負荷等)によっても同様に動作・復帰時間という遅れ時間が存在します。このような遅れ時間を考慮に入れた上で、開閉頻度を設定ください。

④入力インピーダンス

入力電圧が幅を持っているSSR(形G3F、形G3H等)では、入力電圧により入力インピーダンスが変化し、それにつれて入力電流が変化する機種があります。半導体などにてSSRを駆動される場合、電圧によっては、半導体の故障の原因となりますので実機にてご確認の上、ご使用ください。
下記に代表例を示します。

表示灯無しでフォトカプラ方式の機種に適用
入力インピーダンス(代表例)
形G3F、形G3H(表示灯無しタイプ)

表示灯有りでフォトカプラ方式の機種に適用
入力インピーダンス(代表例)
形G3F、形G3H(表示灯有りタイプ)

入力インピーダンス(代表例)
形G3CN

出力回路に関して

●交流開閉形SSRの出力側ノイズ・サージについて

  • SSR が使用される交流電源にエネルギーの大きいサージ電圧が重畳した場合、SSRのLOAD端子間に挿入されたCRスナバ回路(SSRに内蔵)の抑制効果が能力不足となり、SSRの過渡尖頭素子電圧を超えて、SSRの過電圧破壊の原因となります。
    サージの測定は困難な場合が多いので、基本的にはバリスタを付加ください。最終使用段階で、サージがないことを確認された場合は除きます。
  • 形G3NA、形G3S、形G3PA、形G3PE、形G3PC、形G3NE、形G3NH、形G9H、形G3DZ、形G3RZ、形G3FM以外の機種には、サージ吸収素子を内蔵していません。誘導負荷開閉時にはサージ吸収素子付加などのサージ対策を必ず実施してください。
  • 対策例としてサージ電圧吸収素子を付加した場合を下記に示します。
    当社としましては、下記条件の耐衝撃電圧試験にて、SSR出力側の耐量の確認を行っております。
     条件:入出力端子一括-ヒートシンク間 6kV
        入力端子-出力端子間 4.5kV
        出力端子間 4.5kV

サージ吸収素子は、以下の表の条件を満たす素子を選定ください。

使用電圧バリスタ電圧サージ耐量
AC100~120V用240~270V1,000A以上
AC200~240V用440~470V
AC380~480V用820~1,000V

●出力側の接続について

SSRの出力側の並列接続は避けてください。SSRの場合、出力側が両方ONすることはありませんので、負荷電流を増やすことはできません。

●直流開閉形SSRの出力側ノイズ・サージについて

ソレノイド・電磁弁などのL負荷を接続される場合は、逆起電力防止ダイオードを接続してください。SSRの出力素子の耐電圧を超えた逆起電力がかかった場合、SSRの出力素子の破壊の原因となります。対策としては、表1の素子を負荷と並列に挿入します。(下図参照)

吸収素子のうち、ダイオード方式が逆起電力を抑制する効果が最も高くなります。ただしソレノイドや電磁弁の復帰時間は長くなります。実使用回路にてご確認の上、ご使用ください。なお、復帰時間を短くする対策としては、ダイオードとツェナーダイオードを使用する方法があります。この場合、ツェナーダイオードの、ツェナー電圧(Vz)を高くすればするほど復帰時間は短くなります。

表1 吸収素子例

吸収素子
ダイオードダイオード+ツェナーダイオードバリスタCR
効果×

(参考)
①ダイオードの選定方法
 耐電圧=VRM≧電源電圧×2
 順電流=IF≧負荷電流
②ツェナーダイオードの選定方法
 ツェナー電圧=Vz<(SSRのコレクタ-エミッタ間電圧)-(電源電圧+2V)
 ツェナー・サージ電力=PRSM>Vz×負荷電流×安全率(2~3)

注. ツェナー電圧(Vz)が高くなるとツェナーダイオードの容量(PRSM)が大きくなります。

●DC出力タイプでのAND回路について

次のような回路の場合、SSRが誤動作する可能性があります。SSRの出力用半導体素子(トランジスタ、MOS FET)の端子間には寄生容量が存在します。一方のSSRがオンした時に急峻な立ち上がりの電圧が、もう一方のオフしているSSRに印加され、寄生容量へ充電電流が流れます。この充電電流により、オフしているSSRが誤動作することがあります。(数μs~数ms)一方がSSR以外の機器の出力の場合も、誤動作する可能性があります。誤動作の影響が問題がないか実機にてご確認ください。

●自己保持回路について

自己保持回路をご検討される時は、有接点のリレーにて回路を構成してください。SSRでは主に以下の理由のため自己保持回路が組めません。

  1. SSRの出力用半導体素子(トランジスタ、MOS FET)の端子間には寄生容量が存在し、その寄生容量へ充電電流が流れます。電源をONした際に急峻な立ち上がりの電圧が発生した際にその充電電流が入力側にも流れ、誤動作する可能性があります。
  2. また当社SSRは最小負荷電流以下では使用できないため、自己保持するための入力電流が正常に流せない可能性があります。

●負荷別のSSRの選定について

各負荷における突入電流の例を以下に示します。

AC負荷の種類と突入電流

負荷の種類ソレノイド白熱電球モータリレーコンデンサ抵抗負荷
突入電流/定常電流約10倍約10倍~約15倍約5倍~約10倍約2倍~約3倍約20倍~約50倍1
波形

①ヒータ負荷(抵抗負荷)

突入電流のない負荷です。一般的に電圧出力の温調器と組み合わせてヒータ開閉に使用します。また、ゼロクロス機器付きのSSRを使用することにより、ノイズの発生を大幅に抑制できます。
ただし、純金属系・セラミック系のヒータは、この種類の負荷には含まれません。純金属系・セラミック系のヒータは、常温での抵抗値が低いためSSRに過電流が流れ、SSR破壊の原因となります。
純金属系・セラミック系のヒータを開閉される際には、電力調整器の長時間ソフトスタートタイプあるいは定電流タイプを選定ください。

②ランプ負荷

白熱電球・ハロゲンランプなどは、突入電流が大きく流れます。(定格電流の約10~15倍)
この突入電流のピーク値がSSRのサージオン電流耐量の1/2以下になるようにSSRを選定ください。(下図の繰り返し〈破線〉参照)
サージオン電流耐量の1/2を超えた突入電流を繰り返し印加すると、SSRの出力素子の電流破壊の原因となります。

③モータ負荷

モータの始動時には、定格電流の5~10倍程度の突入電流が流れます。また、突入電流が流れる時間も長くなります。
従って、実使用状態の突入電流および始動時間を測定の上、突入電流のピーク値がサージオン電流耐量の1/2以下になるようにSSRを選定ください。また、SSRオフ時にもモータよりの逆起電力によりSSRが破壊されるため、過電圧保護を実施してください。

④トランス負荷

SSRがオンした瞬間、10~500msの間10~20倍の励磁電流がSSRに流れます。また、2次側無負荷の場合、励磁電流が最大となります。この励磁電流が、SSRのサージオン電流耐量の1/2以下となるSSRを選定ください。

⑤半波整流回路

交流用電磁カウンタやソレノイドの一部にダイオードを内蔵し、半波整流しているものがあります。このような負荷の場合、SSRの出力側に交流電圧の半波が加わりません。このため、ゼロクロス機能の付いたSSRでは、ゼロクロス電圧<SSR出力両端電圧となることでゼロクロス機能がはたらかないため、オンしない原因となります。従って、対策例としては、次の2つの方法があります。
ただし、半波整流されたブレーキコイルの開閉はこれら2つの方法では対応できません。DC負荷開閉用SSRの使用を推奨いたします。
なお、上記の「●直流開閉形SSRの出力側ノイズ・サージについて」を参照し、逆起電力対策を実施してください。
また、AC200Vの半波整流回路(ピーク電圧283V)については対応できませんのでご注意ください。

1. SSRの負荷電流の20%程度の電流を流すブリーダ抵抗を接続する。(下図参照)

2. ゼロクロス機能のないSSRを使用する。

⑥全波整流負荷

交流用電磁カウンタやソレノイドの一部にダイオードを内蔵し、全波整流しているものがあります。このような全波整流負荷の負荷電流は、下図のように矩形波に近い波形となっています。

従って、交流用SSRは出力素子にトライアック(回路電流が0にならないと素子がオフしない)を使用しており、負荷電流波形が矩形波の場合SSRの復帰不良の原因となります。
全波整流された負荷を開閉する場合は、-VタイプあるいはパワーMOS FETリレーを選定ください。
(-VタイプSSR)形G3F-203SL-V、形G3H-203SL-V
(パワーMOS FETリレー)形G3DZ、形G3RZ、形G3FM

⑦小容量負荷

SSRには、入力信号がないときでも、出力(LOAD)側に数mAの漏れ電流ILが流れます。そのため、この漏れ電流が負荷の復帰電流より大きい場合復帰不良の原因となります。漏れ電流対策としては、SSRの開閉電流が大きくするためのブリーダ抵抗Rを負荷と並列に接続してください。

⑧インバータ負荷

SSRの負荷電源としてインバータ制御された電源を使用しないでください。インバータ制御された波形は、矩形波になるためdV/dtが非常に大きく、SSRが誤点弧し復帰不良の原因となります。
入力側にインバータ制御された電源を使用する場合、電源の実効値がSSRの使用電圧範囲内であれば使用可能です。

⑨容量性負荷

SSRのオフ時、電源電圧+コンデンサのチャージ電圧がSSRの両端に印加されるため、SSRは使用可能電圧が電源電圧の2倍以上のSSRを選定ください。また、充電電流がSSR のサージオン電流耐量の1/2 以下になるようなSSRを選定ください。

使用負荷電源に関して

1. 整流された電源について

交流電源を全波整流もしくは半波整流にて直流負荷電源とする場合、SSRの使用負荷電源の最大値を負荷電源のピーク電源が超えないようにしてください。このような場合、過電圧となりSSRの出力素子破壊の原因となります。

2. 交流負荷電源の使用周波数について

交流負荷電源の使用周波数範囲は、47~63HZでご使用ください。

3. 交流低電圧負荷について

負荷電源をSSRの使用負荷電圧範囲の最小値以下で使用される場合、負荷に印加される電圧のロス時間(損失時間)が、SSR使用電圧範囲内の負荷と比較して長くなります。
下図の負荷例を示します。(損失時間がA<Bとなっています。)
実使用上において、この損失時間が問題にならないかご確認の上、ご使用ください。
なお、負荷電圧がトリガ電圧を下回った場合、SSRがオンできない原因となりますので、負荷電圧はAC75V以上に設定ください。(ただし、形G3PA-VD、形G3NA-2□□B-UTUはAC24V)

L 負荷の場合は上図のように電流位相が遅れるためR 負荷ほど損失は大きくなりません。
それは電流が0 になり、SSRがOFFしたときすでに高い電圧が印加されているからです。

4. 位相制御された交流電源について

位相制御された電源は使用できません。

使用環境および保管環境に関して

1. 使用周囲温度について

SSRの使用周囲温度定格は、熱のこもりがない条件下にて定めております。このため通風・換気などの放熱条件が悪く、熱のこもりが発生する場合、使用周囲温度定格を超えて、SSRの故障および焼損の原因となります。
ご使用の際には、機種別に記載しております「負荷電流-周囲温度定格」を満足するように放熱設計をお願いします。なお、環境条件(気候条件や室内空調条件など)やご使用条件(密閉盤内取りつけなど)によってはSSRの使用周囲温度が高温となる場合がありますので注意が必要です。

2. 使用環境および保管環境について

下記の場所での使用および保管は故障や誤動作、特性劣化の原因となりますので使用しないでください。
・直射日光があたる場所。
・周囲温度が「各個別規定」の範囲を超える場所での使用。
・相対湿度が「各個別規定」の範囲を超える場所、温度変化が急激で結露するような場所での使用。
・周囲温度が「各個別規定」の範囲を超える場所での保管。
・腐食性ガスや可燃性ガスのある場所。
・塵埃、塩分、鉄粉が多い場所。
・本体に直接振動や衝撃が伝わる場所。
・水、油、薬品などの飛沫がある場所。

3. SSRを長期保管する場合

長期保管時、端子表面は大気にさらされるため、酸化などで端子のはんだ付け性が劣化する原因となります。従って、長期保管後の基板実装時には、はんだづけ状態をご確認の上、ご使用ください。

4. 振動・衝撃について

規格値以上の振動・衝撃が、SSRに加わることのないようにしてください。異常な振動・衝撃が加わると誤動作の原因となるだけでなく、SSR内部の部品の変形、破損などにより動作不良の原因となります。
なお、SSRに異常な振動を加えないためにも、振動を発生する機器類(モータなど)の影響を受けない場所、方法にて取りつけて(実装)ください。

5. 溶剤の付着について

SSRにシンナー、ガソリンなどの溶剤が付着しないようにしてください。溶剤によりマーキング消えの原因となります。

6. 油の付着について

SSRの端子台カバーに油が付着するとカバーの白濁あるいはクラック(ひび割れ)の原因になります。

実作業に関して

1. 漏れ電流について

SSRは、入力がないときでもスナバ回路を通して漏れ電流が流れます。従って、SSRの交換・配線作業をする際には、必ず入力側および負荷側の電源をオフにして、安全をご確認の上、作業を実施してください。

2. ねじ締めトルクについて

SSRの端子への締めつけがゆるんでいた場合、通電時の発熱によりSSRの焼損の原因となります。
下記表の締めつけトルクにて配線を実施ください。

SSR端子ねじの締めつけトルク

SSR形式ねじ推奨締めつけトルク
形G3PC、形G32A、ソケットなどM3.50.75~1.18N・m
形G3NA、形G3PA-10/20AタイプM40.98~1.37N・m
形G3NA、形G3PA-40AタイプM51.57~2.35N・m
形G3PH-□□75M63.92~4.9N・m
形G3PH-□150M88.82~9.8N・m

注. 過度の締めつけはねじの破損につながりますので、上記範囲の締めつけトルクにて締めつけてください。

3. SSRの取りつけパネルの材質について

形G3NA、形G3NE、形G3PE(放熱器別取りつけタイプ)を放熱器を使用せず、直接制御盤などのパネルに取りつける場合、パネルの材質は、熱抵抗の少ないアルミ材としてください。その際、放熱用シリコーングリス(モメンティブジャパンYG6260、信越シリコーンG746など)を取りつけ面に必ず塗布してください。
熱抵抗の高い材質のパネル(塗装パネルなど)に取りつけられた場合、SSRの放熱効率が低下するため、SSRの出力素子の熱破壊の原因となります。また、木材などの燃えやすい材質に取りつけて使用された場合、SSRの発熱により、木材が炭化し、火災の原因となります。

4. 表面接続ソケットについて

  1. 表面接続ソケットは、取りつけ穴加工後、ねじでゆるみのないように取りつけてください。
    ソケット取りつけねじにゆるみがありますと、振動・衝撃でソケットやSSRが外れたり、リード線が外れる原因となります。
    35mm幅DINレールにワンタッチで取りつけられる表面接続ソケットも用意しております。
  2. SSRとソケットの確実な接続を維持するために保持金具をご使用ください。異常な振動・衝撃が加わった場合、SSRがソケットから外れる原因となります。

5. SSRの抜き差し方向について

SSRとソケットの抜き差しは、ソケット表面に対して垂直方向に行ってください。SSRを斜めに抜き差ししますと、SSR本体の端子も曲がり、ソケットに入らなくなる場合があります。

6. ラッピング端子用ソケットへの配線について

下表をご参考としていただき、正しく取りつけてください。
配線方法が不適切の場合、リードはずれの原因となります。

項目巻きつけ状態形名
(ビット)
使用ワイヤリード縁の
被覆むき長さ
(mm)
有効巻数
(回)
標準端子
(mm)
引抜力
(kg)
適合スリーブ
AWGΦ
形PY□QN被覆
1回巻
21-A260.443~44約61×13~81-B
22-A240.536~374~132-B
23-A220.6541~424~1520-B
形PT□QN普通巻20-A200.837~38約41.0×1.55~15

注. 形PY□QNは使用ワイヤφ0.65で6回巻きつけ可能です。
  形PT□QNは使用ワイヤφ0.8で4回巻きつけ可能です。

7. タブ端子へのはんだづけ禁止について

形G3NEなどのタブ端子へのリード線のはんだづけはしないでください。SSRの部品破壊の原因になります。

8. 端子カットについて

オートカッターによる端子カットは実施しないでください。
オートカッターなどにより端子カットを実施された場合、内蔵部品の損傷の原因になります。

9. 端子を変形させた場合

誤って変形させた端子を無理に修正し、使用することはしないでください。このような場合、SSRに無理な力が加わり、初期性能が維持できなくなります。

10. 保持金具について

保持金具の取りつけ、取りはずしにおいては、金具が変形しないようにしてください。また、一度変形した金具は使用しないでください。SSRに強度の力が加わり特性を維持できない場合や、逆に十分な保持力が得られず、SSRのゆるみによる接触不良などの障害の原因になります。

11. 超音波洗浄について

超音波洗浄は実施しないでください。
SSRを基板実装後などで超音波洗浄された場合、超音波によるSSR内部構成部の共振による内蔵部品損傷の原因になります。

SSRの取り扱いに関して

●落下禁止

SSRは、精密部品ですので実装前後にかかわらず、落下や規格値を超える振動・衝撃を加えないでください。
保障可能な振動・衝撃値は、機種別に定めていますので、カタログの各機種の項をご確認ください。
SSRを落下されたり、異常な振動・衝撃を加えられたりした場合、初期の特性を維持できなくなります。
また、落下されたり、異常な振動・衝撃を加えられたりした場合、SSRの内部部品の損傷などの不具合原因になります。
落下時SSRに加わる衝撃の大きさは、衝撃を与える状況により異なります。例えば、SSR単体をPタイルの上に落下させた場合、10cmの高さでも1,000m/s2以上に達することがあります。(この場合、床面の材質、床面とのあたりかた、落下高さなどによります。)
また、スティック包装状態においても同様に定格値を超える振動・衝撃を加えないでください。

●端子配置/内部接続

①BOTTOM VIEW

下図のように上面から端子配列が見えない構造のリレーに限り、内部接続図をBOTTOM VIEWで記載しています。

②BOTTOM VIEWの回転方向

コイルを左側(方向指示マークを左側)として矢印方向に回転させたときの端子配列を表示しています。

プリント基板用SSRに関して

●プリント基板の選定

①基板の材質

基板の材質には、大きく分けてエポキシ系とフェノール系があります。それぞれ下記のような特長があります。
用途や経済性を考慮の上選定ください。SSR搭載基板としては、はんだクラック対策の面からもエポキシ系をおすすめします。

材質エポキシ系フェノール系
ガラス布基材エポキシ(GE)紙基材エポキシ(PE)紙基材フェノール(PP)
電気的特性・絶縁抵抗が高い。
・吸湿による絶縁抵抗の低下が少ない。
・GEとPPの中間・初期は高い絶縁抵抗をもっているが、
 湿気により低下しやすい。
機械的特性・温・湿度による寸法変化が小さい。
・スルホール基板、多層基板に適す。
・GEとPPの中間・温・湿度による寸法変化が大きい。
・スルホール基板に適さない。
経済性・高価・やや高価・安価
用途・高信頼性を必要とする場合など・GEとPPの中間的な用途・環境が比較的良く配線密度の少ない
 場合など

②基板の厚さ

基板の大きさ、基板に実装する部品の質量、基板の取りつけ方法、使用温度などにより基板のそりが発生すると、SSR内部の機構にゆがみを生じ、性能を十分発揮できない原因となります。
従って、材質も考慮した上で板厚を決定ください。

③端子穴径およびランド径

端子穴径およびランド径は、使用のSSRのプリント基板加工寸法図をもとに下表から選定ください。ただし、スルーホールメッキ処理のランド径は、表の値より小さくすることが可能です。

穴径Φ (mm)最小ランド径Φ (mm)
公称値公差
0.6±0.11.5
0.81.8
1.02.0
1.22.5
1.32.5
1.53.0
1.63.0
2.03.0

●取りつけ間隔について

SSR取りつけ部の周囲温度は、SSR規定使用周囲温度内としてください。多数個取りつけた場合、異常にSSRが発熱することがありますので熱がこもらないように規定の間隔をあけてSSRを実装ください。
取りつけ間隔の規定値は、カタログの機種個別の値を参照ください。(規定されてない場合、SSR1個分の間隔をあけてください。)
また、取りつけ方向は通風の良い方向にて取りつけてください。(下図参照ください)

●プリント基板用SSRの実装上の注意事項

  • SSRのはんだづけは、260℃ 5秒以内に実施してください。ただし、個別に条件設定されている機種については個別条件に従い、はんだづけを実施してください。
  • フラックスは、SSRの構成材の適合性から、非腐食性のロジン系をご使用ください。

プリント基板への実装については、各々の工程で次の配慮をお願いします。
なお、機種個別に実装上の注意が必要な場合がありますので、各機種の“正しくお使いください”の欄もご覧ください。

工程1SSR装着
①端子を曲げて自立端子形にしないでください。SSRの初期性能が維持できない原因となります。
②プリント基板の加工は、プリント基板加工図通り正しく行ってください。
工程2フラックス塗装
①フラックスは、SSR構成材の適合性から非腐食性のロジン系をご使用ください。フラックスの溶剤
  は化学作用の少ないアルコール系をご使用ください。
②フラックスがSSR端子以外に付着しないようにしてください。SSR底面等に付着しますと絶縁劣化の
  原因となります。
工程3予備加熱
①はんだづけ性を良くするために必ず予備加熱を行ってください。
②予備加熱は下記条件で行ってください。
温度100℃以下
時間1分以内
③装置の故障などで長時間高温中に放置されたSSRはご使用にならないでください。初期の特性が
  変化する原因となります。
工程4はんだづけ
●自動はんだづけ
①品質の均一性からフローソルダ式をおすすめします。
 ・はんだ:鉛フリーはんだ(Sn-3Ag-0.5Cu)
 ・はんだ温度:約250℃(DWSの場合は約260℃)
 ・はんだ時間:約5秒以内(DWSの場合は、1回目約2秒、2回目約3秒)
 ・はんだがプリント基板上にあふれないように液面位置調整をしてください。
●手はんだづけ
①こて先の平滑仕上げをした後、下記条件にてはんだづけを行ってください。
 ・はんだ:鉛フリーはんだ(Sn-3Ag-0.5Cu)のやに入り(ロジン系)
 ・はんだごて:30~80W
 ・こて先温度:280~350℃
 ・はんだ時間:約3秒以内

②なお、上図のように、はんだに切断面を入れてフラックスの飛散を防止したものがあります。
工程5冷却
①自動はんだづけ後ははんだづけの熱によりSSRや他の部品を劣化させないよう、ただちに送風して
  冷却してください。
②はんだづけ後ただちに洗浄液などの冷たい液に浸漬しないでください。
工程6洗浄
①洗浄される場合、洗浄方法と洗浄液の選定には、下表をご参照ください。
洗浄方法
ボイリング洗浄または浸漬洗浄が可能です。
ただし、超音波洗浄および端子カットは行わないでください。内部部品の破損の原因となります。
洗浄液の温度は使用周囲温度以内で洗浄を行ってください。
②洗浄液可否一覧表
洗浄液可・否
塩素系●ベルクリーン ●クロロソルダ
水性●インダスコ ●ホリス ●純水(湯)
アルコール●IPA ●エタノール
その他●シンナー ●ガソリン不可
注1. その他の洗浄液を使用される場合は、ご相談ください。フレオンTMC、シンナー・ガソリンは
   すべてのSSRに使用しないでください。
  2. 水素またはアルコール系をご使用の場合、SSRと基板間の洗浄性が劣る原因となります。
   CFC-113(通称フロン)や1.1.1 トリクロロエタンは、世界的に全廃のための活動が進められ
   ています。
   全廃活動にご協力をお願いいたします。
工程7コーティング
①SSR全体の樹脂固めは、行わないでください。SSRの特性が変化する原因となります。
②コーティング剤の温度は、使用周囲温度の最大値を超えないでください
コーティング
種類可・否
エポキシ系
ウレタン系
シリコン系
注. 形G3Mなどの熱容量の大きい基板用SSRにおいては、SSRの端子へのはんだづけが十分なされて
   いることをご確認ください。

最終更新日:2024年04月22日