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超音波センサ 用語解説


超音波センサは、送波器により超音波を対象物に向け発信し、その反射波を受波器で受信することにより、対象物の有無や対象物までの距離を検出するセンサです。ここでは超音波センサの用語を解説をします。

概要用語解説

関連情報



●音速

気中での音速Cは近似式として、
C≒331.5+0.61θ(m/s)θ:気温(℃)
で表わされます。気温が変われば音速が変わり、これが温度差による距離測定誤差となります。

●反射と透過

一様な媒質中では超音波は直進し、異なる媒質との境界面では反射、透過する現象があります。この現象は媒質の種類、形状に左右されます。大気中では人体などからでも十分反射現象がありその検出が容易におこなえます。

●多重反射

検出可能物体に一回反射して戻る反射に対して、その反射波がセンサヘッド面あるいは近傍の物体、天井面などに反射して、もう一度検出可能物体に反射して戻ってくるような二度以上の反射波があることをいいます。
例えば2回反射の場合はちょうど2倍の距離にある一回反射と同じ反射波を受けることになります。

●限定ゾーン(反射形)

検出距離の調整において最大検出距離だけでなく、最小検出距離も連動してあるいは単独に調整できるもので、その検出可能範囲を限定ゾーン(ゾーン限定)といいます。

●不感知範囲と不確定領域(反射形)

検出距離の調整の結果生じた、センサヘッド面と最小検出距離の間の検出しない領域を不感知範囲と言い、センサヘッドの構成上および残響振動により、ヘッド面の近傍で検出できない領域を不確定領域といいます。
ただし不確定領域ではセンサと物体との多重反射により検出することがあります。

●指向特性

所要の音響エネルギーを目標物に与えるのに必要な無指向性送波器と、指向性送波器の音響出力の比を指向性利得といいます。
周波数が高く、振動面積が大きいほど指向性が鋭くなり、音波を効率よく発射することができます。
超音波センサとして実用されているセンサ部の指向特性は、音圧半減角(半値角)で8~30°程度です。
センサホーンの形状、振動子の振動モードなどによっても指向特性が大きく左右されるので、求める動作領域に応じてセンサ部形状、使用周波数、振動子の種類などが決定されます。

●音圧半減角(半値角)

指向性を表す指標の一つです。振動子の中心、つまり音響レベル(音の強さ)が最大の角度より、角度をずらしていって音響レベルが最大値の1/2に減衰する角度(対称になるので実際は2倍の角度)を半値角といいます。

●サイドローブ

振動子の中心、つまり音響レベル(音の強さ)が最大の角度より角度をずらしていったときの音響レベルを、中心よりの長さで示したグラフで指向性を示しますが、中心より角度の増加にしたがって減少していきその後再び増加する特性があります。
これをサイドローブ(side lobe)といい、周囲の物体に乱反射するなど検出特性に影響することがあります。

●振動子

電気エネルギーを印加して超音波を発生、または超音波振動エネルギーを電気信号に変換する素子で、通常超音波センサには圧電現象を利用したチタン酸バリウム振動子が多く用いられ、その形状には、円板形と円筒形とがあります。

●ホーン

超音波を一定方向に集束発射、または受波するための反射器で、この形状寸法により、センサの指向特性が決定されます。

●送波

発振側に振動子を接続し所定方向に発射された超音波のことで、通常振動子に加わる電圧値または音圧で表します。

●受波

送波された超音波を直接または物体からの反射波を振動子の位置で受けた波のことで、通常変換された電圧値または音圧で表します。

●残響

振動子に、その共振周波数に近い電気信号をパルス的に印加すると、電気信号がなくなってからも、超音波振動が機械的に短時間持続する現象を残響といいます。反射形では、この残響現象が長く続くと検出が不可能となります。

●検出可能物体の種類と形状(反射形)

・検出可能物体として次のように大別できます。

(A)平面状のもの……液体、箱、プラスチックシート、紙、ガラスなど

(B)円柱状のもの……缶、ビン、人体(人体保護用途は除く)など

(C)粒体または塊体状のもの……鉱石、岩石、石炭、コークス、プラスチックペレットなど

・反射効率はこれら検出可能物体の形状により異なります。
 (A)の場合、反射波がもっとも多く戻りますが、検出可能物体の傾きによる影響が大きくなります。
 (B)、(C)の場合、乱反射があり反射波は一様ではありませんが、傾きによる影響は少なくてすみます。


最終更新日:2024年04月22日