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●共通の注意事項は、電力・機器用保護機器共通の注意事項をご覧ください。

使用上の注意

・電流波形が歪んでいる回路にて形K2CM(電流反相検出タイプ)を使用しますと反相要素が不要動作することがあります。
電流波形が歪んでいる回路では電流波形歪みの影響を受けない形K2CM-□□□□V(電圧反相検出タイプ)または形SE モータ・リレーをご使用されることをおすすめします。

・電流反相検出タイプをご採用いただく時で、瞬時たりともモータの逆回転が許容できない場合には適用できませんのでご注意ください。

・インチング運転で使用される場合、インチング毎に内部の過負荷検出回路がリセットされるため使用できません。

・電源あるいは負荷に起因する不平衡率の大きい回路への適用はその不平衡率を実測の上、それに見合った欠相感度の位置(「高」あるいは「低」)にしてご使用ください。不平衡率が60%以上ある場合には使用できません。

・高圧あるいは低圧大容量モータへ適用する時に使用する外付変流器は、少なくともモータの定格電流の600%までは飽和しないような過電流定数の大きい種類のものを選定することが重要です。過電流定数の小さい変流器を使用しますと過負荷時に不平衡でトリップしたり、反限時形の場合、動作時間が長くなりますのでモータ焼損事故にいたる可能性もあります。

・形K2CM-□□□□V(電圧反相検出タイプ)の制御電源は必ずモータの同一ラインから取ってください。別電源とした場合、モータが起動しても別電源がOFFとなっていますと検出ができません。

・三相変圧器の保護に適用する時には、単相負荷に起因する不平衡にご注意ください。

・制御電源としては商用周波数以外では使用しないでください。

・トリップ表示の表示器は表示目的のものです。これを押し込むようなことは絶対にしないでください。リセットはリセットスイッチを押すことで行います。

・テストボタンによる動作チェックは過負荷の動作チェックが目的ですので過負荷スイッチは確実に「ON」状態にしてください。この時欠相スイッチと反相スイッチは不要動作防止のために必ず「OFF」状態にしてください。

・反限時形のテスト時の動作時間と瞬時形のテスト時の起動時ロック時間は動作時間の整定値通りですので、テストボタンはその時間以上押し続けてください。

・電流反相検出タイプで反相検出が可能なのは変流器(外付変流器も含む)の位置までです。変流器からモータまでの配線は起動前にチェックしてください。

・基本的には三相負荷の保護ですが、単相負荷については過負荷要素のみ適用できます。この時には貫通方向、順序は任意でかまいません。

・制御電源断時にはリセットスイッチを押してもリセットしませんが異常ではありません。制御電源が印加されている時のみリセット可能です。(電源起動を外付けタイマにて行われる場合は形SEをご使用ください)

・操作・整定時に取り外したフロントカバーは確実に装着してください。

・変流器ブロックと制御回路ブロックは、左右2ヶ所のねじを締めつけることにより、一体化されています。このねじは絶対にゆるめないでください。

・整定VRには、有効目盛範囲外に回転止め構造があります。0.098N・m以上のトルクは加えないでください。

・形K2CM-□□□A(自動復帰タイプ)は動作後、電流整定値以下で自動復帰しますが、反相要素のみは動作後、入力零でも自動復帰しません。リセットボタンで復帰させるか、制御電源を「断」にしてください。

・モータ起動後、約2秒以内にモータ運転を停止させると、正相であっても「反相要素」が不要動作する恐れがありますのでご注意ください。

・ご使用に際しては目的に合った整定としてください。

試験方法

電圧反相検出タイプ

次の試験回路により、下記の動作特性試験を行います。変流器の貫通回数は、カタログの「■操作/整定方法」の「整定電流一覧表」を参照の上、モータ・リレーの電流レンジに応じて決定してください。

K2CM ご使用の前に 4

試験項目 試験手順
動作値 動作時間
過負荷 反限時形 ①SW1を投入します。
②SW2を投入し、補助リレー(Y) を動作させます。
③3Φ SDを調整して徐々に電流を増加させ、形K2CMの過負荷LEDが反限時形の時にはパルス的に点灯(瞬時形の時には連続的に点灯)
する電流値を読みます。 *1
④SW1、SW2を切ります。
①SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、電流整定値の600%の電流にして、一旦SW1、SW2を切ります。 *2
②SW1を投入します。
③SW2を投入し、形K2CMの動作によってサイクルカウンタCCの指針が停止した位置(時間)を読みます。この時間は反限時形では動作時間に、瞬時形では起動時ロック時間になります。
④SW1、SW2を切ります。
瞬時形 ①SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、電流整定値の100%の電流にして、一旦SW1、SW2を切ります。
②SW1、SW2を再投入して、2s以上待ちます。 *3
③3Φ SDを調整して、急激に電流整定値の140%の電流に増加させ、形K2CMが瞬時動作することを確認します。
④SW1、SW2を切ります。
欠相 ①変流器入力の任意の1相を欠相(断線)させます。
②SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して徐々に電流を増加させます。
③最大電流相が電流整定値の85%以下で形K2CMが動作し、トリップ表示がなされ、欠相の動作表示LEDが点灯することを確認します。
④SW1、SW2を切ります。
①変流器入力の任意の1相を欠相(断線)させます。
②SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、残りの相の電流を電流整定値の115%にして、一旦SW1、SW2を切ります。
③SW1、SW2を再投入し、形K2CMの動作によってサイクルカウンタCCの指針が停止した位置(時間)を読みます。
④SW1、SW2を切ります。
反相 ①形K2CMの入力端子U、Vを図の破線のように入れ換えて、相順を反相にします。
②SW1、SW2を投入し、形K2CMが動作することを確認します。
③U、V、W端子入力に3Φ SDを付加します。
④3Φ SDを調整して定格電圧の80%以下で形K2CMが動作することを確認します。
①電圧入力を反相状態にします。
②SW1、SW2を投入し、サイクルカウンタの指針が停止する位置を読みます。
③SW2を切ります。

*1. 相間の電流アンバランスは、R1を調整して平衡させます。

*2. 3ΦSDで調整しても600%の電流にならない時には、変流器の貫通回数を増加させます。

*3. 時間整定ツマミを最小としてください。

電流反相検出タイプ

次の試験回路により、下記の動作特性試験を行います。変流器の貫通回数は、カタログの「■操作/整定方法」の「整定電流一覧表」を参照の上、モータ・リレーの電流レンジに応じて決定してください。

K2CM ご使用の前に 7

試験項目 試験手順
動作値 動作時間
過負荷 反限時形 ①SW1を投入します。
②SW2を投入し、補助リレー(Y) を動作させます。
③3Φ SDを調整して徐々に電流を増加させ、形K2CMの過負荷LEDが反限時形の時にはパルス的に点灯(瞬時形の時には連続的に点灯)する電流値を読みます。 *1
④SW1、SW2を切ります。
①SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、電流整定値の600%の電流にして、一旦SW1、SW2を切ります。 *2
②SW1を投入します。
③SW2を投入し、形K2CMの動作によってサイクルカウンタCCの指針が停止した位置(時間)を読みます。この時間は反限時形では動作時間に、瞬時形では起動時ロック時間になります。
④SW1、SW2を切ります。
瞬時形 ①SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、電流整定値の100%の電流にして、一旦SW1、SW2を切ります。
②SW1、SW2を再投入して、2s以上待ちます。 *3
③3Φ SDを調整して、急激に電流整定値の140%の電流に増加させ、形K2CMが瞬時動作することを確認します。
④SW1、SW2を切ります。
欠相 ①変流器入力の任意の1相を欠相(断線)させます。
②SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して徐々に電流を増加させます。
③最大電流相が電流整定値の85%以下で形K2CMが動作し、トリップ表示がなされ、欠相の動作表示LEDが点灯することを確認します。
④SW1、SW2を切ります。
①変流器入力の任意の1相を欠相(断線)させます。
②SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、残りの相の電流を電流整定値の115%にして、一旦SW1、SW2を切ります。
③SW1、SW2を再投入し、形K2CMの動作によってサイクルカウンタCCの指針が停止した位置(時間)を読みます。
④SW1、SW2を切ります。
反相 ①変流器より、電源側の位置で任意の2相を入れ換えます。(図ではU、V相を破線の位置で入れ換え)
②SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して電流整定値の50%の電流にして、一旦SW1、SW2を切ります。
③SW1、SW2を再投入し、形K2CMが動作し、トリップ表示がなされ、反相の動作表示LEDが点灯することを確認します。
④SW1、SW2を切ります。
①変流器より電源側の位置で任意の2 相を入れ換えます。(図ではU、V相を破線の位置で入れ換え)
②SW1、SW2を投入し、3Φ SDを調整して、電流、整定値の100%の電流にして、一旦SW1、SW2を切ります。
③SW1、SW2を再投入し、形K2CMの動作によってサイクルカウンタCCの指針が停止した位置(時間)を読みます。
④SW1、SW2を切ります。

*1. 相間の電流アンバランスは、R1を調整して平衡させます。

*2. 3ΦSDで調整しても600%の電流にならない時には、変流器の貫通回数を増加させます。

*3. 時間整定ツマミを最小としてください。

保守・点検

形K2CMモータ・リレーは安定した性能を持っていますが、これを長期にわたって維持するために、次の点検をおすすめします。

日常点検

日常不定期に行う点検で、視覚等感覚を主体にして不良要因の事前チェックを行うことを目的とします。

項目 点検ポイント
接続 ねじ端子のゆるみ・破損、配線材の絶縁被覆、配線材への過度のストレス、端子ねじへの異物付着など
モータリレー本体 操作部への異物混入・付着、塵埃の付着、整定値のズレ、動作表示LEDの表示状態、トリップ表示状態、フロントカバーの有無、変流器ブロックと制御回路ブロックの締めつけねじのゆるみ、取りつけねじのゆるみ、ケースの変形、表面温度、異常音など
外付変流器 端子部のゆるみ、異臭、表面の変色など

定期点検

一定期間毎に停電させて関係項目について詳細の点検を行うもので、長期間使用における経年変化の有無を点検します。
年に1回点検をおすすめします。

モータリレー

項目 点検ポイント
構造 端子部の塵埃・異物の付着、端子部周辺の絶縁物のヒビ割れ、配線材の焼損、整定ツマミ・切換スイッチツマミの破損、テスト・リセットスイッチボタンの破損、圧着端子絶縁部の破損、ねじ端子のサビ・変色など
動作特性 試験方法によります
絶縁抵抗 端子一括と取りつけ板間
テストスイッチによる動作チェック 動作時間、動作表示LED、トリップ表示の確認

外付変流器

塵埃・異物の付着、配線材の焼損、取りつけねじのゆるみなど。