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制御に関する用語の説明

●調節感度

ON/OFF制御では設定値でON、OFFしますので、少しの温度変化に応じて出力が頻繁に変化します。出力リレーの寿命が短くなったり、接続された装置に悪影響を与えます。これを防ぐため、ON、OFFの動作にすきま(ヒステリシス)を設けています。

この動作すきまを調節感度といいます。

調節感度(逆動作)

(例)温度レンジ0~400℃の温調器で、調節感度が0.2%の場合はD=0.8℃ですから、設定を100℃にすると100℃でOFF、99.2℃でONします。

調節感度(正動作)

(例)温度レンジ0~400℃の温調器で、調節感度が0.2%の場合はD=0.8℃ですから、設定を100℃にすると100℃でOFF、100.8℃でONします。

●オフセット

比例動作では制御対象の熱容量、ヒータ容量により安定状態に達しても、設定値に対して一定の誤差を生じます。この誤差をオフセットと呼びます。このオフセットは設定値の上方に生じる場合もあります。

●ハンチングとオーバーシュート

ON/OFF動作時にはよく図に示すような波形が発生します。この図にみられるように、動作開始後設定値に達したのち行き過ぎる現象のことをオーバーシュート、また設定値のまわりで振動する現象のことをハンチングといいます。この現象が小さいほど、良い制御といえます。

ON-OFF動作におけるハンチングとオーバーシュート

●制御周期と時分割比例動作

P動作等でリレー、SSRを使用し操作量を出力する場合、あらかじめ設定した時間周期にしたがい、一定時間ONし、残り時間はOFFを繰り返す方法で行います。このあらかじめ設定された時間周期を制御周期といい、またこのような動作方法を時分割比例動作(時間比例式制御動作)といいます。

例)制御周期が10 秒で、操作量が80%のとき、出力のON時間およびOFF時間は次のとおりです。

TON:8(秒)

TOFF:2(秒)

●微分時間

図のようなランプ状の偏差に対し、微分の操作量が比例動作と同じ操作量に達するまでの時間を微分時間といいます。したがって、微分時間が長いほど微分動作による訂正が強いことを示します。

PD動作と微分時間

●積分時間

図のようにステップ状の偏差に対して積分の操作量が比例動作と同じ操作量に達するまでの時間を積分時間といいます。
したがって、積分時間が短いほど積分動作は強くなります。しかし、積分時間をあまり短くしすぎると訂正動作が強すぎてハンチングが生ずる原因となることもあります。

PI動作と積分時間

●定置制御

常時決められた温度で制御をします。

●プログラム制御

あらかじめ定められた時間ごとに変化をする目標値に追従させる制御です。

オートチューニング

温度制御を行うPID定数は制御対象の特性により、数値、組合せが異なります。従来より、これらPID定数を実際の制御している温度波形より導き出す手法が種々提案実施されています。いろいろな制御対象でも適切な制御を行えるPID定数をこれらの手法で導き出す方法をオートチューニングといい、代表的な手法として、ステップ応答法、限界感度法、リミットサイクル法があります。

●ステップ応答法

設定値を最もよく使用する値にします。操作量100%をステップ状に出力し最大温度傾斜(R)とむだ時間(L)を計測し、RとLの値よりPID定数を算出します。

●限界感度法

スタート時点(A点)から比例動作を開始します。比例帯の幅を少しずつ狭めていき温度の振動を発生させます。このときの比例帯の値と振動の周期(T)よりPID定数を算出します。

●リミットサイクル法

スタート時点(A点)からON/OFF動作を開始します。これにより発生するハンチングの周期(T)と振幅(D)の値よりPID定数を算出します。

●PID定数の再調整

オートチューニングで算出されたPID定数は、ほとんどの場合問題はありません。
しかし用途によっては、測定されたPID定数では不満が生じる場合もあります。そのときは以下の例を参考にしてPIDの再調整を行ってください。

P(比例帯)を変化させたときの応答
大きくすると ゆっくりと立ち上がり整定時間が長くかかりますがオーバーシュートしないようになります。
小さくすると オーバーシュートが起こりハンチングもありますが早く設定値に到達し、安定します。
I(積分時間)を変化させたときの応答
大きくすると 設定値になるまでの時間が長くなります。
整定時間がかかりますがハンチングやオーバーシュート、アンダーシュートが小さくなります。
小さくすると オーバーシュート・アンダーシュートが起こります。
ハンチングが生じます。
早く立ち上がります。
D(微分時間)を変化させたときの応答
大きくすると アンダー整定時間が小さくなりますが自分自身の変化に細かいハンチングを
生じます。
小さくすると アンダーが大きくなり、設定値にもどるまで時間がかかります。
ファジィセルフチューニング

適切な温度制御を行うためには、制御対象の特性に合わせPID定数を決める必要があります。従来温調器ではオートチューニング機能を搭載しPID定数の算出をしています。この場合、オートチューニングの開始を温調器に指示する必要があり、またリミットサイクル法のように温度の乱れが発生することになります。
ファジィセルフチューニングはチューニングの開始を温調器自身がきめるとともに、制御中の温度の乱れを生じることなくチューニングを行う機能です。つまり常に適切な制御が行えるように、制御対象の特性に合わせPID定数を調整します。

ファジィセルフチューニングは3つのモードではたらきます

  • 設定値で変更時にチューニングを行いPID定数を算出します。
  • 外乱で温度が乱れたとき、所定の範囲に収まるようにPID定数を修正します。
  • ハンチングが生じたときハンチングをなくすようにPID定数を修正します。

従来の温調で使われていたオートチューニング
オートチューニング(AT)…制御対象に適したPID 定数を自動的に算出する機能

  • 【特長 1 】 「AT」という指示を出したときにチューニングが行われる。
  • 【特長 2 】 チューニングするために、リミットサイクル信号を出して温度を振動させる。

セルフチューニング
セルフチューニング(ST)… 制御対象に適したPID定数を自動的に算出する機能

  • 【特長 1 】 いつチューニングを行うかは温調器自身が判断する。
  • 【特長 2 】 温度を乱すような信号を出さない。

セルフチューニング

サーマックS(形E5□S)に搭載しています。
温度変化の傾向により適切な比例帯を計算し自動的に比例帯を変更します。

●温度調節等のPID制御とチューニング方式一覧表

PID種類 PID 2自由度PID
形E5□N * AT、ST**
形E5□R AT
形E5□K AT、ST
形E5□S ST*
形E5ZN AT
形C200H-TC AT
形C200H-TV AT
形C200H-PID AT
形CQM1-TC AT

ST:ファジィセルフチューニング、ST*:セルフチューニング、ST**:設定値変更でのみ実行、AT:オートチューニング
* 形E5ZNは含みません。

制御出力

●整定時間

制御系において応答が目標値達成するまでに要する時間です。

●傾斜チューニング(GT)

EJ1G、CJ/CSシリーズ 傾斜温度制御対応ループコントローラに搭載しています。

傾斜温度制御では、相互に干渉する複数の点の温度を関係づけて制御をおこないます。GT は、この関係づけをおこなう内部パラメータを調整するため、相互にどの程度の干渉があるのかを自動的に測定し、同時にPIDのチューニングをおこなう一連の動作のことを指します。

●干渉系

多点制御において、あるループの熱源が、別のループの制御に影響を与えるような制御系のことです。

●干渉行列

傾斜温度制御で使用するパラメータで、制御対象の干渉度合いを行列化したものです。