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温度制御がうまくいかない。 (オーバーシュート、ハンチング、温度が安定しない等)

FAQ番号:FAQ02747

 

回答

温度調節器(デジタル調節計)の設定が、ヒータなどの応答性と合致していない場合や、ヒータ容量が対象物に対して適切でない場合は、オーバーシュートや温度が安定しない、なかなか温度が上がらないなど、温度制御がうまくいかないことがあります。

以下の(1)~(5)の手順で確認してください。

【1】確認手順 
確認事項 Yes No

(1)
PID制御をしている 制御出力の種類をご確認ください。

・リレー出力:(2)へ
・電圧出力(SSR駆動用)
     :(2) へ
・アナログ出力:(3)へ
(ON/OFF制御をしている)
【a】【b】【c】の順に対策してください。
それでも改善しない場合は、【d】【f】または
【e】【f】の対策を実施してください。
(2) 制御周期は適切である。
(3) へ (制御周期が適切ではない)
【b】【c】の順に対策してください。
それでも改善しない場合は、 【d】【f】または
【e】【f】の対策を
実施してください。
(3) AT(オートチューニング)は実行した。 (4) へ (ATは実行していない)
【c】の対策をしてください。
それでも改善しない場合は、【d】【f】の対策を実施してください。

ただし、水冷式または空冷式の加熱冷却制御を行う場合は
【e】【f】の対策をしてください。*2
(4) RT(ロバストチューニング) には対応している機種である。*1 (5)へ (RT未対応の機種)
【f】の対策をしてください。
(5) 温度入力で使用する。
(アナログ入力ではない)
(RT対応機種で温度入力)
【d】の対策をしてください。
それでも改善しない場合は、【f】の対策をしてください。

ただし、水冷式または空冷式の加熱冷却制御を行う場合は【e】【f】の対策をしてください。*2
(RT対応機種でアナログ入力)
【f】の対策をしてください。

ただし、水冷式または空冷式の加熱冷却制御を行う場合は
【e】【f】の対策をしてください。*2
 

*1 RT(ロバストチューニング)機能付きの形式

   形E5CD、形E5ED、形E5AC、形E5EC、形E5EC-B、形E5CC、形E5CC-B、形E5CC-U、形E5DC、

   形E5AC-T、形E5EC-T、形E5CC-T

   形E5AN-H、形E5EN-H、形E5CN-H、形E5AN-HT、形E5EN-HT、形E5CN-HT、

   形E5AN *3、形E5EN *3、形E5CN *3

*2 空冷または水冷対応チューニング機能付きの形式 (2013年12月以降生産分)

   形E5AC、形E5EC、形E5EC-B、形E5CC、形E5CC-B、形E5CC-U、形E5DC、
   形E5AC-T、形E5EC-T、形E5CC-T

*3  形E5☐Nシリーズ(ベーシックタイプ)は、2017年3月に生産を終了しました。

   代替については、関連情報の「生産終了品/代替情報」をご利用ください。


【2】主な対策  
【a】 ~PID制御にする~

ON/OFF制御は、設定値に達するまではONしているため、熱応答が早い制御対象の場合、PID制御に比べてオーバーシュートやハンチングが発生しやすい傾向があります。
より安定した制御をご要望の場合は、PID制御での使用をご検討ください。
ただし、リレー出力の場合は、ON/OFF制御に比べて出力開閉頻度が増すため、接点寿命が短くなる傾向があります。
制御周期を適切に設定してお使いください。
(【b】をご参照ください。)

〔設定例  (形E5☐Cの場合) 〕
  設定レベル :初期設定レベル  
  パラメータ  :cNtl 
  設定値   : PId (初期値はoNoF)  
【b】 ~制御周期の見直しをする (アナログ出力は除く) ~

制御対象の特性によって、適切な制御周期は異なります。
熱応答が早い(温まりやすく、冷めやすい)対象物に対し制御周期が長すぎる場合、対象物自身の温度
変化よりも制御が荒すぎてしまうため、オーバーシュートやハンチングを発生しやすくなります。
制御周期を短くしてお使いください。
ただし、リレー出力をお使いの場合、制御周期を短くすると接点の磨耗が早くなります。
短い制御周期での接点出力のご使用はおすすめできません。
リレー接点出力の場合は初期値の20秒程度、電圧出力(SSR駆動用)の場合は2秒程度でお試しください。

〔設定例  (形E5☐Cの場合) 〕
・設定レベル : 初期設定レベル  
・パラメータ  : CP (初期値は20秒) 
【c】 ~AT(オートチューニング)を実行する~

PID制御の場合、温度制御を行うPID定数は制御対象の特性により、数値、組合せが異なります。
PID定数の値が適切でないとオーバーシュート、ハンチングが発生しやすくなります。
AT(オートチューニング)を実行することにより、制御対象に対し、適切な制御を行えるPID定数を求めることができます。
なお、ATを実行する際は、必ずヒータなどを接続し、実際に温度制御しながら行ってください。
また、実行中はハンチングの様な動きをします。AT終了後に、安定するかご確認ください。

〔設定例  (形E5☐Cの場合) 〕
  設定レベル : 調整レベル  
  パラメータ  : At (オートチューニング)
  設定値    : At-1 または At-2  (初期値はoff)
            (At-1、At-2の違いは関連FAQを参照ください) 
【d】 ~RT(ロバストチューニング)を実行する (RT対応機種。温度入力で使用する)~

「ロバストチューニング(RT)」とは、モデル予測制御をベースにオムロン独自の調整を加え、大学との共同研究により開発した、新しいPID 調整方法です。

制御対象の特性変動が大きい場合や 周囲の風量や気流、温度の変動が大きい場合など、従来では最適な温度制御が難しい環境で有効です。

RTを有効にした後、【c】ATを実行してください。(対象機種は*1を参照ください)

 

〔設定例 (形E5☐Cの場合) 〕
  設定レベル : 高機能設定レベル   
  パラメータ  : Rt (ロバストチューニング)
  設定値    : oN (初期値はoFF)  

 

〔注意〕

・RT モードの切替によりPID定数は工場出荷値に初期化されます。
・RT モードに変更した場合は、「積分/微分時間単位」設定が0.1 秒単位となります。

 

【e ~空冷対応または水冷対応チューニングを実行する
    (水冷対応チューニング対応機種。加熱冷却制御で使用する)~

通常の冷却方法とは異なる空冷式または水冷式に特化したチューニングアルゴリズムで、最適なPID定数を自動的に設定することができる機能です。
加熱冷却チューニング方式を「空冷」または「水冷」にしたあと、【c】ATを実行してください。
(対象機種は*2を参照ください)

〔設定例 (形E5☐C) 〕
  設定レベル : 高機能設定レベル   
  パラメータ  : HCtM (加熱冷却チューニング方式)
  設定値    :2(空冷) または 3(水冷) 

〔参考〕
 設定できる内容は、0:加熱と共通、1:リニア、2:空冷、3:水冷 があります。
 ・リニア
   線形(リニア)な冷却特性を持つアプリケーションに対応した制御を行います。
 ・空冷/水冷
   非線形な冷却特性を持つアプリケーションに対応した制御を行います。
   (プラスチック成形機など)
   即応性がよく、安定した応答特性が得られます。
   
   
【f】 ~PIDの値を微調整する~

ATを実行しても改善されない場合は手動でPID定数を調整する必要があります。
ST(セルフチューニング)機能のある機種の場合は、STを無効にしてから行ってください。
現象 調整方法
オーバーシュートする。 P、I を大きくしてください。
なかなか温度が変化しない。
設定値に達しない。
P、I を小さくしてください。
ハンチングが生じる.
温度が安定せず、ふらふらする。
P、I を大きくdを小さくしてください。

〔設定例 (形E5☐Cの場合) 〕
  設定レベル : 調整レベル   
  パラメータ  : P (比例帯)  I(積分時間)  d(微分時間)
  設定値    :任意の値に設定してください。

 

*加熱冷却制御で使用する場合、機種により冷却制御に関するパラメータがございます。

 ・形E5□Cシリーズ

   冷却用のPIDパラメータがあります。

   調整レベル:C-P(比例帯(冷却)) C-I(積分時間(冷却))、C-d(微分時間(冷却))

 ・形E5□N-H、形E5□N-HT、形E5□N *3 シリーズ

   冷却係数 *4、冷却係数自動調整があります。

   調整レベル:C-SC(冷却係数)、高機能設定レベル:CSCA(冷却係数自動調整)

 ・形E5□Rシリーズ、形E5□R-Tシリーズ

   冷却係数 *4 があります。

   調整レベル:C-SC(冷却係数)   

  

 *4 加熱冷却制御時に、冷却用の出力の比例帯を調整する機能です。

   冷却側のP(比例帯)は、「P(加熱制御比例帯)x冷却係数」です。

 

  (ご参考)

  上記の内容以外に、オーバーシュート、ハンチングが発生する原因として、
   ・制御対象の熱容量に対してヒータの熱容量が大きすぎる
   ・周期的に外乱が入り、制御対象の熱容量が変化している 
   ・加熱冷却制御時にデッドバンドの設定が大きすぎる      という場合もございます。

 

【参考】 設定レベルへの移行について (形E5☐Cの場合)

 ・電源を投入すると運転レベルに入ります。運転レベルでキーを3秒以上押すと初期設定レベルに入ります。
   キーを短く押すたびにパラメータが切り替わります。
  初期設定レベルでキーを1秒以上押すと運転レベルに入ります。
  運転レベルでキーを1秒未満押すと調整レベルに入ります。
  初期設定レベルと同様にキーを短く押すたびにパラメータが切り替わります。
  調整レベルでキーを1秒未満押すと運転レベルに入ります。
  ・高機能設定レベルに移行する方法は、関連FAQを参照ください。

 

■お願い
設定パラメータの詳細、操作手順等については、下記商品情報のURLよりカタログ・ユーザーズマニュアルをダウンロードしてご利用ください。
(ユーザーズマニュアルのダウンロードには無料の会員登録が必要です。)