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オムロンの取り組み

Sysmacの産業用Ethernet

産業用Ethernetの普及

情報系で標準化されてきたEthernet。産業用としても、開発環境充実やケーブル・コネクタ類などのインフラを武器に、モーション制御やリモートI/Oのレベルでも採用されるようになっており、今後もその移行は確実に進むでしょう。

オムロンが選んだネットワーク

● EtherNet/IPとEtherCAT

Sysmacでは、それぞれ用途に合わせて最適なネットワークを選択しました。 大容量データの伝達を必要とするコントローラのネットワークには、EtherNet/IPを、一方、フィールドネットワークでは比較的小容量データを超高速に扱うものとして、FAネットワークで高速のEtherCATを採用しました。

● モーションネットワークとフィールドネットワークの統合

マシンオートメーションコントローラNJシリーズは、高速ネットワークEtherCATを採用し、500μsで64軸制御、かつ1μs以内のゆらぎ性能の高速高精度制御を実現しました。さらにI/O制御を同一システムで、かつ同時に実現できます。これにより、モーションネットワークとフィールドネットワークの完全な統合が可能になりました。

また、これまでのフィールドネットワークをさらに進化させ、敷設や立ち上げの利便性、統一された異常情報をはじめとするプロファイルなど、「容易に立ち上がる、必ずつながる、資産化できる」をコンセプトとし、より少ない動線で、より容易に、そして確実なネットワークの構築を可能にします。

超高速・高効率通信を実現するEtherCAT

EtherCAT(Ethernet Control Automation Technology)は、Ethernet技術をベースとし、超高速・高効率通信を実現する高性能な産業用ネットワークシステムです。

各スレーブはEthernet フレームを高速で伝送するため、短い通信サイクルタイムを実現することがきます。入力信号の発生から出力信号の送信までの I/O レスポンスタイムが大幅に短縮。最適化された Ethernet フレームの帯域を最大限に利用し、さまざまなデータを高効率で伝送することができます。

超高速・高効率通信を実現するEtherCAT

● モーション制御で高精度な同期 1μs以下を実現!

多軸サーボモータを同期運転させるようなアプリケーションでは、ノード間で正確な時間管理を行うことが重要です。EtherCATでは、それぞれのスレーブが時計を持っており、その時計のずれを補正したり、伝播遅延時間を計測、記憶したりする仕組みを持っています。これにより全てのスレーブの出力タイミングのずれを1μs以内に抑え、通常のパケット方式のEthernet通信よりもはるかに正確なタイミング制御ができるのです。

モーション制御で高精度な同期 1μs以下を実現!

● フレキシブルな配線形態

Ethernet技術をベースでありながら、ネットワーク・スイッチやハブを使用することなく、ディージーチェーンの配線形態が実現できます。また、専用の分岐スレーブを使うことにより、スターやラインなのどさまざまな配線形態もサポートされており、それらを組み合せることもできます。

ハブ不要な配線形態

● 安全制御の統合

従来、安全制御は、制御系ネットワークとは別に専用の安全通信システムが使用されていました。Safety over EtherCATは安全に関する通信と制御通信が同一のネットワーク上に混在することを可能としました。Safety over EtherCATに対応し認証を受けたオムロンのSysmacセーフティコントロールユニットは、セーフティを含めた入出力機器の分散化ニーズにも対応できる構造を有しており、1つのネットワークで装置内を省配線化しつつ、高速・高精度な制御と安全を両立することができます。

● EtherCAT Technology Group(ETG)による認証

EtherCAT Technology Group(ETG)は、さまざまな産業界の主要なユーザー企業と主要なオートメーション企業がEtherCAT技術のサポート、プロモーション、発展を推進するために設置したフォーラムであり、コンフォーマンステストおよびその認証手順を規定することによって、EtherCAT実装の互換性を保つことを目的として活動しています。

拡張性に優れたEtherNet/IP

EtherNet/IPも、Ethernet を使用した産業用のマルチベンダネットワークの一つです。

その仕様はオープンな規格として、DeviceNet と同様にODVA(Open DeviceNet Vendor Association)にて管理されており、さまざまな産業用機器に採用されています。

拡張性に優れたEtherNet/IP

● Ethernetの標準プロトコルを採用

EtherCATがフレームでの情報伝送を行うのに対して、EtherNet/IPでは、Ethernetで広く採用されているTCP/IP、UDP/IPプロトコルを採用し、 アプリケーション層にCIP(Common Industrial Protocol)を制御用プロトコルとして実装した産業用イーサネット です。フィールドからの、大量の制御用・監視用データを高速かつ広範囲に通信できる利点を活かし、稼働率向上、品質改善、TCO削減などが期待できます。

● 制御系と情報系のデータを同じネットワーク上で混在可能

さまざまなアプリケーションで、リアルタイムでの制御系と情報系のやりとりを可能にします。EtherNet/IPネットワークでは、各種制御機器をコントローラやHMI装置に接続し、さらに企業ネットワークにつなげることができます。つまり、非産業用通信と産業用通信の両方を同じネットワークのインフラ基盤上に載せることができます。