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セーフティ・リミットスイッチ 共通の注意事項


セーフティ・リミットスイッチは、物体の行き過ぎやガード検出に適し、直接回路動作機構の接点を有するリミットスイッチです。ここではセーフティ・リミットスイッチの共通の注意事項を説明します。

共通の注意事項 

関連情報



各商品別の注意事項は、 各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。

安全上の要点
  • 爆発性ガス、引火性ガスなどの雰囲気中では使用しないでください。
  • スイッチ本体については、埃や水などの浸入から保護されていますが、ヘッド部は微細な異物や水から保護されていませんので、異物や水が入らないようにしてください。早期摩耗、破損、誤動作などの原因になります。
  • スイッチの耐久性は開閉条件により大きく異なります。使用にあたっては必ず実使用条件にて実機確認を行い、性能上問題のない開閉回数内にてご使用ください。
  • 本体をストッパーとして使用しないでください。
  • 起動回路に使用しないでください。(安全確認信号用としてご使用ください)
  • 長期間押込み状態での使用は部品劣化を早め、復帰不良になる場合があります。事前に確認いただき、定期的な点検、交換を実施ください。
  • 回路の短絡によるスイッチの破損を防ぐため、定格電流の1.5~2倍の遮断電流値のヒューズをスイッチと直列に接続してください。
    EN認証定格でご使用の場合は、IEC60269適合の10Aヒューズ形gIあるいは形gGをご使用ください。
  • スイッチ機能が十分に発揮されないことがあります。製品を落下させないでください。
  • 正常動作を損なう恐れがありますので、いかなる場合でも製品の分解・改造は行わないでください。
使用上の注意

●機械的な注意事項

動作力、ストローク、接触特性について

  • 下図は、動作力←→ストローク←→接点接触力の相関を示すものです。 高い信頼性を得るためには、適切な接触力範囲内で使用する必要があります。 常時閉路(NC)使用時は操作体の設定を、アクチュエータが自由位置にもどるようにすることが必要です。 また、常時開路(NO)使用時は動作後の動き(OT)の規格値の80~100%(全体の動き(TT)の60~80%)まで押し込み、わずかのブレや誤差を吸収するようにしてください。
  • ストロークの設定が動作位置(OP)や復帰位置(RP)の近辺の場合、接触不安定の原因となります。また、動作限度位置(TTP)である場合、操作体の慣性力によるアクチュエータやスイッチ本体の破損の原因となりますので、ストロークの調整を取りつけ板や操作体側で行ってください。
    (後述「ドッグの設計」、「ドッグ移動量によるストローク設定」、「ドッグの面粗さについて」参照)
  • 下図にストロークの増減とともに動作力(接触力)が変化する代表事例を示します。OP、RP付近での設定は不安定な接触力であるため、高い信頼性は保持できません。また、振幅や衝撃に対して弱くなります。
  • アクチュエータが常時押し込まれた状態で使用されますと、早期故障、復帰不良の原因となります。また、カムやドッグをスイッチのアクチュエータ(ローラ)に接触させた状態で移動させる時、移動距離が長くなるに従いローラやローラ軸の摩耗量も大きくなりますので、定期的な点検、交換を実施ください。

操作について

  • スイッチのアクチュエータが急激にスナップ・バックしたり、衝撃を受けることがないよう、操作体(カム、ドッグなど)には配慮してください。相対的に速い動作でスイッチを操作する場合には、リレーやバルブを十分励磁できる、保持ストロークの長いカムやドッグにしなければなりません。
  • 操作方式、カムやドッグの形状、ひん度、動作後の動きなどが耐久性、精度に与える影響は大です。従って、カムやドッグはなめらかな形状にしてください。
  • スイッチのアクチュエータには回転運動、直線運動の場合とも、正常な荷重がかかるように設定してください。
    下図のように、ドッグがレバーにあたると動作位置も安定しません。
  • スイッチのアクチュエータには偏荷重がかかることのないように、また局部摩耗が起こらないようにしてお使いください。
  • アクチュエータが動作後の動き(OT)を越えないようにセットしてください。動作後の動き(OT)が制限を越える場合、故障の原因となります。取りつけ時の調整は、操作全体の動きを考慮して、十分ご検討してください。
  • 動作後の動きが大きすぎる場合は、早期の故障を誘発します。従って、取りつけ時の調整が必要であり、操作体の予想される工程に対しても、十分検討してください。
  • スイッチはアクチュエータの特性に合わせた操作方法でご使用ください。
    なお、ローラ・アーム・レバー形の場合、下図のような矢印方向でのご使用はしないでください。
  • アクチュエータの加工による動作位置の変更はしないでください。
  • 可変レバーなど長レバーでご使用の際は、テレグラフィングが発生しやすくなりますので対策として以下の方法をお奨めします。
  1. ドッグの後端をなめらかな角度15~30°にするか、2次曲線で結んでご使用ください。
  2. 回路にて誤動作信号を検出しないように設定してください。
  3. 片側動作ができるスイッチを使用してください。
    (または、片側動作にセットしてご使用ください。)

使用環境について

  • このスイッチは屋内仕様です。
    屋外で使用した場合、スイッチ故障の原因となります。
  • 悪性ガス(H2S、SO2、NH3、HNO3、Cl2 など)や高温高湿の雰囲気は接点接触不良や腐食による破損などを生じる原因となるので使用しないでください。
  • 下記の環境では使用しないでください。
    ・温度変化の激しい場所
    ・湿度が高く、結露が生じる恐れのある場所
    ・振動の激しい場所
    ・防護扉内側での切粉、加工屑、油、薬品のかかる場所
    ・シンナー、洗剤などの溶剤がかかる場所
    ・爆発性ガス、引火性ガスなどの雰囲気中

スイッチの接点について

スイッチの接点には一般負荷と微小負荷共用のタイプがありますが、一度負荷を開閉した接点に、さらに容量の小さい負荷を接続して使用することはできません。
接点表面が荒れて接触信頼性が損なわれる恐れがあります。

スイッチの保管について

スイッチを保管する場合は、悪性ガス(H2S、SO2、NH3、HNO3、Cl2など)や塵埃、高温多湿を避けてください。

その他

  • シールゴムのズレや浮き、および異物の付着があるとシール性を損ないます。異常のないことを確認し使用してください。
  • 定期点検を計画的に行ってください。
  • 負荷電流は定格値以下でご使用ください。
  • シール性が低下する恐れがあります。正規のカバー取りつけねじ以外は使用しないでください。

●ドッグの設計

ドッグの速度および角度とアクチュエータとの関係について

ドッグを設計する場合、ドッグの速度および角度(φ)とアクチュエータの形状などとの関係を十分考慮する必要があります。
なお、一般的なドッグ角度30°~45°の範囲でのドッグの操作速度(V)は、0.5m/s以下が適当です。

ローラ・レバー形アクチュエータ

(1)ドッグがアクチュエータを乗り越えない場合

ドッグ速度が0.5m/s以下の場合(普通)

ΦVmax(m/s)y
30°0.40.8(TT)
全ストロークの80%はとれる
45°0.25
60°0.1
60°~90°0.05(低速)

ドッグ速度が0.5m/s≦V≦2m/sの場合(高速)

θΦVmax(m/s)y
45°45°0.50.5~0.8(TT)
50°40°0.6
60°~55°30°~35°1.30.5~0.7(TT)
75°~65°15°~25°2

注. yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。

(2)ドッグがアクチュエータを乗り越える場合

ドッグ速度が0.5m/s以下の場合

ΦVmax(m/s)y
30°0.40.8(TT)
全ストロークの80%はとれる
45°0.25
60°0.1
60°~90°0.05(低速)

ドッグ速度が0.5m/s以上の場合

比較的高速でドッグがアクチュエータを乗り越える場合は、ドッグの後端をなめらかな角度(15°~30°)にするか、2次曲線で結べば、レバーのおどりが少なくなります。

θΦVmax(m/s)y
45°45°0.50.5~0.8(TT)
50°40°0.6
60°~55°30°~35°1.30.5~0.7(TT)
75°~65°15°~25°2

注. yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。

プランジャ形アクチュエータ

ドッグがアクチュエータを乗り越える場合でも、前進方向と後退方向の形状は同じでよいのですが、アクチュエータがドッグから急激に離れるような形状は避ける必要があります。

ローラ・プランジャ形

ΦVmax(m/s)y
30°0.250.6~0.8(TT)
20°0.50.5~0.7(TT)

ドッグ移動量によるストローク設定

  • リミットスイッチのストローク設定を、アクチュエータ角度ではなく、ドッグの移動量で行う場合の方法について述べます。
    リミットスイッチの適正ストロークは以下のとおりです。
      適正ストローク:PT+{OT規格値×(0.7~1.0)}
      角度で表すとθ1+θ2となります。
  • 適正ストロークに対応する、ドッグの移動量は次式で表せます。
  • 適正ストロークに対応する、取りつけ基準位置からドッグ下面までの寸法は次式で表せます。

ドッグの面粗さについて

  • ドッグの面粗さは▽▽▽(6.3S)程度で、焼き入れはHV450程度が適当です。
    また、アクチュエータとドッグの摺動部にグリス(二硫化モリブデン系)を塗布すると摩耗の低減がはかれ、摺動も円滑になります。

その他

  • 長レバー、長ロッド・レバーなどをつけてご使用の際はレバーを下向けにしてご使用ください。
  • スイッチのアクチュエータ(ローラ)に斜めから荷重を印加されますとアクチュエータの変形・折損および回転軸の変形・折損の原因となりますのでまっすぐにドッグがあたるようにしてください。
  • ヘッドは取りはずさないでください。故障の原因になります。
  • 設計にあたっては、「技術解説 > セーフティコンポーネント」のページをご参照ください。

最終更新日:2024年03月01日