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リミットスイッチ 共通の注意事項


リミットスイッチは、マイクロスイッチを外力、水、油、塵埃などから保護する目的で金属ケースや樹脂ケースに組み込んだスイッチです。ここではリミットスイッチの共通の注意事項を説明します。

共通の注意事項  

関連情報



各商品別の注意事項は、 各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。

安全上の要点
  • 非常停止回路や人身事故につながる安全回路のスイッチとして使用する場合、直接開路動作認定タイプを選定し直接開路動作機構を有するNC接点側を使用し、ポジティブモードで動作するよう設定してください。
    また、安全のために、スイッチが容易に取りはずしできないようなねじあるいはそれと同等の手段によって取りつけてください。または、防護カバーや警告表示をつけてください。
  • 配線作業時は通電しないでください。
  • 負荷電流は必ず、定格値以下でご使用ください。
  • 取りつけ調整後は必ず動作確認を実施してください。
  • 通電中は端子に触れないでください。感電の恐れがあります。
  • アース端子付きスイッチは必ず、アース線を接続してください。
  • 通電中は分解しないでください。感電の恐れがあります。
  • スイッチの耐久性は、環境条件、開閉条件により大きく異なります。使用にあたっては必ず実使用条件にて実機確認を行い、性能上問題のない開閉回数内にてご使用ください。
    性能の劣化した状態で引き続き使用されますと、最終的には、絶縁不良、接点の溶着、接触不良やスイッチ自体の破損・焼損の原因となります。
  • 配線終了後に適切な絶縁距離を確保してください。
  • 負荷の種類によって、定常電流と突入電流に大差がある場合があります。許容突入電流値内でご使用ください。閉路時の突入電流が大きいほど、接点の消耗量、移転量が増大し、接点の溶着、移転による接点開離不能、絶縁不良など規定の性能を損なうばかりでなく、スイッチ自体の破損・損傷の原因となります。

●配線方法について

各端子への誤配線は絶対にしないでください。
誤って使用されますと、スイッチとしての機能が発揮されず、外部回路へ影響を与えるだけでなく、スイッチ自体の破損、焼損の原因となります。

●取りつけについて

  • アクチュエータの加工をしないでください。使用上加工されると動作特性など性能の変化が発生します。
  • 取りつけ穴の拡大など、スイッチ本体に対する加工は絶対に行わないでください。絶縁不良やハウジングの破損および人身事故につながる原因になります。
  • 取りつけ調整後は必ず、動作確認を実施してください。
  • アクチュエータなどの摺動部へ、オイルやグリスなどの潤滑剤を使用しないでください。摺動性の低下や内部への浸入にともなう不具合の原因になります。
  • 取りつけねじは、指定の大きさを用い、平座金、ばね座金などを使用して堅固に取りつけてください。その際の締めつけトルクは規定の値に従ってください。パネル取りつけ押しボタン形では締めつけトルクが過大な場合にはアクチュエータの摺動不良の原因になります。
  • コンジット口には異物、切削くずなどが侵入しないように配管してください。
  • 接着剤、ロック剤などをご使用される場合には、可動部へ付着しないようにしてください。また内部に浸入すると動作不良、接触障害など発生する原因となりますのでご注意ください。種類によっては有害ガスを発生し悪影響を与える原因となりますので、十分ご確認のうえ選択してください。
  • 落下させたり、内部を分解したりしないでください。特性を満足できないばかりではなく、破損・焼損の原因となります。
  • ヘッド方向変更が可能な機種においてヘッド方向を変更する場合には、シール性確保のため異物付着をさせないでください。また、ヘッド取りつけねじは各機種毎の適正締めつけトルクで均等に締めつけてください。
  • 異物の侵入や油水の浸入を防ぐため、正しいコンジット処理をしてください。特に使用環境やケーブル径に合ったコネクタの選定と正しい取りつけ、適正締めつけトルクで処理してください。
  • 押し込み状態において、アクチュエータに振動・衝撃を印加されますと局部摩耗を生じ、アクチュエータの動作不良に至りますので、このような使用は行わないでください。

●配線方法について

  • 配線方法が悪いと、ひっかかりを生じたりリード線にひっぱりが加わります。配線を変更してリード線に余裕をもたせ途中を固定してください。
  • 各端子への誤配線は絶対にしないでください。
    誤って使用されますと、スイッチとしての機能が発揮されず、外部回路へ影響を与えるだけでなく、スイッチ自体の破損、焼損の原因となります。
使用上の注意

●スイッチのご使用にあたって

  • スイッチを実際に使用するにあたって、机上では考えられない不測の事故が発生することがあります。
    そのため、実施可能な範囲でのテストが必要です。
  • 実機確認を行う際には、負荷条件だけでなく使用環境も実使用状態と同条件で確認してください。
  • カタログに記載の各定格性能値は、特に明記のない場合はすべて次の条件での値です。
    誘導負荷 :力率0.4以上(交流)、時定数7ms以下(直流)
    ランプ負荷:定常電流の10倍の突入電流を有するもの
    電動機負荷:定常電流の6倍の突入電流を有するもの
    (1)周囲温度:+5~35℃
    (2)周囲湿度:40~70%RH

注. 誘導負荷は直流回路で特に問題となるため、負荷の時定数(L/R)の値をよく知っておく必要があります。

●機械的な注意事項

動作力、ストローク、接触特性について

  • 下図は、動作力←→ストローク←→接点接触力の相関を示すものです。高い信頼性を得るためには、適切な接触力範囲内で使用する必要があります。常時閉路(NC)使用時は操作体の設定を、アクチュエータが自由位置にもどるようにすることが必要です。また、常時開路(NO)使用時は動作後の動き(OT)の規格値の70~100%( 全体の動き(TT)の60~80%)を目安に押し込んでください。
  • ストロークの設定が動作位置(OP)や復帰位置(RP)の近辺の場合、不安定な接触力となり、高い信頼性が保持できません。振動や衝撃に対し誤動作を起こしやすくなります。
    また、動作限度位置(TTP)である場合、操作体の慣性力によるアクチュエータやスイッチ本体の破損の原因となりますので、ストロークの調整を取りつけ板や操作体側で行ってください。
    (「●ドッグの設計」、「●ドッグ移動量によるストローク設定」、「●ドッグの面粗さについて」参照)
  • 下図にストロークの増減とともに動作力(接触力)が変化する代表事例を示します。OP、RP付近での設定は不安定な接触力であるため、高い信頼性は保持できません。また、振幅や衝撃に対して弱くなります。
  • アクチュエータが常時押し込まれた状態で使用されますと、早期故障、復帰不良の原因となります。また、カムやドグをスイッチのアクチェータ(ローラ)に接触させた状態で移動させる時、移動距離が長くなるにしたがいローラやローラ軸の摩耗量も大きくなりますので、定期的な点検、交換を実施してください。

選択上の機械的条件について

  • 操作方式によりアクチュエータを選ぶ必要があります。
  • 操作速度、操作ひん度を確認してください。
    1.操作速度が極端に遅い場合、接点の切り替わりが不安定になり、接触の不具合や溶着などの原因になります。
    2.極端に速い操作になると衝撃的な動作により破壊したり、ひん度が高くなると接点切り替わりが追従しなくなりますので規定のひん度以上で使用しないでください。
  • アクチュエータに無理な力が加わらないようにしてください。破損や摺動不良の原因となります。
  • ストロークの設定は各機種の適正ゾーン範囲内で使用してください。適正ゾーン範囲を越えて使用するとスイッチの破壊を生じます。

●電気的な注意事項

選択上の電気的条件について

  • 交流と直流では開閉能力が大きく異なりますので、定格内で使用してください。直流の場合は制御容量が極度に低下します。これは交流のようにゼロ点(電流ゼロクロス点)がなく、したがって一度アークを発生しますと消えにくいため、アーク時間が長くなることが主因です。さらに電流方向が一定のため、接点の移転現象がおこり、凹凸のひっかかりで接点が開離しない原因になります。
  • 誘導を含む場合には逆起電圧が発生し、電圧が高いほどエネルギーが大きく、接点の消耗、移転が増大しますので、定格の条件内で使用してください。
  • 微小電圧、電流の場合には微小負荷用をご使用ください。
    一般用の銀系接点では接触信頼性が低下します。

●接点保護回路について

接点の耐久性を高めたり、雑音の防止、およびアークによる炭化物や、硝酸の生成を少なくするために接点保護回路を用いてください。ただし、正しく使用しないと逆効果となります。
以下に接点保護回路の代表例を示します。なお、湿度の高い雰囲気においては、アークの発生しやすい負荷(たとえば誘導負荷を開閉する場合)のアークによって生成されたNOxと水分によって硝酸(HNO3)が生成し、内部の金属部分を腐食して動作に支障をきたす原因となります。高ひん度かつアークの出る回路条件で使用される場合は、下表に従って接点保護回路をご使用ください。
また、接点保護回路(サージキラー)を用いた場合、負荷の動作時間が多少遅くなる場合がありますのでご注意ください。

接点保護回路(サージキラー)の代表例○…適用 ×…不適用 △…条件付適用

回路例適用特徴、その他素子の選び方の目安
ACDC
CR方式

*AC電圧で使用する場合
負荷のインピーダンスがC、Rの
インピーダンスより小さいこと。
C、Rの目安としては
 C:接点電流1Aに対し1~0.5(μF)
 R:接点電圧1Vに対し0.5~1(Ω)
です。負荷の性質などにより必ずしも
一致しません。
Cは接点開離時の放電抑制効果を
受け持ち、Rは次回投入時の電流制
限の役割ということを考慮し、実験に
てご確認ください。
Cの耐電圧は一般に200~300Vのも
のを使用してください。AC回路の場
合はAC用コンデンサ(極性無し)をご
使用ください。
ただし直流高電圧で接点間のアーク
のしゃ断能力が問題となる場合に、
負荷間より接点間にC、Rを接続した
方が効果的になる場合がありますの
で実機にてご確認ください。
負荷がリレー、ソレノイドなどの
場合は動作時間が遅れます。
電源電圧が24、48Vの場合は
負荷間に並列に、また100~
200Vの場合は接点間に並列に
接続すると効果的です。
ダイオード
方式
×コイルに貯えられたエネルギー
を並列ダイオードによって、
電流の形でコイルへ流し、誘導
負荷の抵抗分でジュール熱とし
て消費させます。この方式は
CR方式よりもさらに復帰時間が
遅れます。
ダイオードは逆耐電圧が回路電圧の
10倍以上のもので順方向電流は負
荷電流以上のものをご使用ください。
ダイオード
+
ツェナー
ダイオード
方式
×ダイオード方式では復帰時間
が遅れすぎる場合に使用する
と効果があります。
ツェナーダイオードのツェナー電圧
は、環境により負荷が動作しない
場合があるため、電源電圧×1.2倍
程度のものを使用します。
バリスタ方式
バリスタの定電圧特性を利用し
て、接点間に高い電圧が加わら
ないようにする方式です。この
方法も復帰時間が多少遅れま
す。
電源電圧が24~48V時は負荷
間に、100~200V時は接点間
のそれぞれに接続すると効果
的です。
バリスタのカット電圧Vcは下記の条
件内になるように選びます。交流では
√2倍することが必要です。
Vc>(電源電圧×1.5)
ただし、Vcを高く設定しすぎると高電
圧へのカットが働かなくなるため効果
が弱くなります。

なお、次のような接点保護回路(サージキラー)の使い方は行わないでください。

しゃ断時のアーク消弧には非常に効果がありますが、接点の開路時Cに容量がたくわえられて
いるため、接点の投入時にCの短絡電流が流れるので、接点が溶着しやすくなります。
しゃ断時のアーク消弧には非常に効果がありますが、接点の投入時にCへの充電電流が流れる
ので接点が溶着しやすくなります。

●微小負荷形での使用について

微小負荷回路の開閉時に一般負荷用のスイッチを用いると、接触不良の原因となります。下図を参照に使用領域の範囲でスイッチをお使いください。なお、微小負荷タイプを下図のエリア内で使用する場合でも、開閉時に突入電流などが発生する負荷の場合は、接点消耗が激しくなり耐久性の低下を生じる原因となりますので、必要により接点保護回路を挿入してください。最小適用負荷は、N水準参考値としています。これは信頼水準60%(λ60)での故障水準のレベルを表しています。(JIS C5003)
λ60=0.5×10-6/回は、信頼水準60%で回以下の故障が推定されるということを表しています。

●接続について

  • 1 個のスイッチの接点に異極、異種の電源を接続しないでください。
  • 接点間に電位差があるような回路設定は行わないでください。(混触溶着の原因になります。)
  • 異常発生時でも、回路が短絡する回路は使用しないでください。(導電部の溶断の原因となります。)
  • スイッチの電子回路(低電圧・低電流)への利用。
    1.接点のバウンシング、チャタリングの発生が問題となる場合は、次のような対策を行ってください。
    (a)積分回路を挿入する。
    (b)バウンシング、チャタリングによるパルス発生を負荷のノイズ・マージン以下とする。
    2.特に接触信頼性への要求度が高いこの分野では、従来から使われてきた銀系接点は不適です。金メッキ(金貼り)接点仕様をご使用願います。
    3.非常停止用のスイッチは安全上、直接開路動作機構付NC接点を使用してください。
  • 回路の短絡によるスイッチ破損を防ぐため、定格電流の1.5~2倍のしゃ断電流値の瞬断型ヒューズをスイッチと直列に入れてください。EN認定定格でご使用の場合は、IEC60269適合の10Aヒューズ形gIあるいは形gGをご使用ください。

●使用環境について

  • 引火性ガス・爆発性ガスなどの雰囲気中でのスイッチ単独の使用はしないでください。
    開閉に伴うアークや発熱などにより、発火または爆発を引き起こす原因となります。
  • スイッチが耐水・密封仕様でないものは、油や水が飛散・噴出したり、塵埃が付着するような場所では、保護カバーにより直接の飛沫を避けて使用してください。
  • リミットスイッチでも屋外や特殊な切削油で、スイッチの材質の変質および劣化がありますので、機種選定についてはご相談ください。
  • スイッチは直接、加工屑や塵埃がかからないような位置に取りつけてください。切削屑や泥状物質の堆積からもアクチュエータ、スイッチ本体を保護する必要があります。
  • 熱湯(+ 60 ℃以上)のかかるところや水蒸気中でのご使用はしないでください。
  • スイッチを規定外の温度、外気条件下で使用しないでください。
    機種により許容周囲温度が異なります。(本文の仕様をご確認ください。)急激な熱変化がある場合、熱衝撃はスイッチにゆがみを生じさせ、故障の原因になります。
  • 作業者の不注意により誤動作や災害の誘因となるような場所にスイッチを取りつける場合は、カバーを取りつけるようにしてください。
  • スイッチに振動・衝撃が連続的に加わる状態では摩耗粉の発生にともなう接点接触障害や動作不良、耐久性低下などの不具合の原因となります。また過大な振動・衝撃があると接点の誤動作や破損が発生しますので、振動・衝撃が加わらない位置や共振しない方向での取りつけをしてください。
  • 銀系の接点では、比較的低ひん度で長期にわたり使用される場合や微小負荷の場合には、接点表面に生成される硫化被膜が破壊されず接点の接触不良の原因となりますので、金メッキした接点や微小負荷用のスイッチをご使用ください。
  • 硫化ガス(H2S、SO2)、アンモニアガス(NH3)、硝酸ガス(HNO3)、塩素ガス(Cl2)などの悪性ガスや高温多湿の雰囲気は接点接触不良や腐食による破損などの機能障害を生じる原因となりますので、使用はしないでください。
  • スイッチは有接点であるため、雰囲気中にシリコンガスが存在しますと、アークエネルギーにより接点に酸化ケイ素(SiO2)が堆積し、接触障害が発生することがあります。スイッチの周囲にシリコンオイル、シリコン充填剤、シリコン電線などのシリコン製品がある場合には、接点保護回路によるアークの抑制やシリコンガス発生源の除去を行ってください。

●定期点検や定期交換について

  • 常時押込み状態で、開閉ひん度の少ない場合(1回以下/日目安)には、部品の劣化により復帰不良になる場合があります。事前に確認いただき、定期点検を実施ください。
  • スイッチの耐久性は性能欄に記載の機械的耐久性と電気的耐久性の他にも使用環境による各部の劣化(特にゴム類、樹脂類の劣化や金属部の腐食など)による耐久性があります。従って、定期点検や定期交換により未然に事故を防いでください。
  • 長期間設定のON/OFFをしない場合は、接点の酸化等により、接触信頼性が劣る場合があります。導通不良から、事故の原因になる場合があります。
  • スイッチは堅固に取りつけ、しかも点検が容易で、取り替えのできる清浄な場所に取りつけてください。点検や保守の困難な場所や暗所には、動作表示ランプつきが便利です。

●スイッチの保管について

  • スイッチを保管する場合は、悪性ガス(H2S、SO2、NH3、HNO3、Cl2など)や塵埃、高温多湿を避けてください。
  • 保管期間が3ヶ月以上経ったものは、再検処理の上ご使用ください。

●耐候、耐寒、耐熱仕様について

耐候、耐寒、耐熱性を向上させるため、シリコンゴムを使用していますが、シリコンゴムからシリコンガスが発生する場合があります。(常温でも発生しますが高温になると発生量は増えます)
このガスはアークエネルギーで反応し、酸化ケイ素(SiO2)を生成します。酸化ケイ素(SiO2)が接点に堆積した場合、接触障害が発生し、機器に支障をきたす恐れがあります。
ご使用にあたっては、必ず実使用条件(環境・動作回数を含む)にて評価いただき、性能上問題ないことをご確認のうえ、ご使用ください。

●屋外で使用する場合について

  • 泥水、粉塵のかかる場所においては、メカニカル部がシールされたゴムキャップのリミットスイッチを使用してください。
  • オゾン劣化などによりゴム材質の劣化が発生する場合があります。
    ゴム材質としては耐候性のあるゴム材(クロロプレン、シリコン、フッ素系)を使用しているものを選定してください。
  • リード線やケーブルの端末処理については、リード線素線部やシース内より毛細管現象により雨水の浸入発生が考えられますので、端子ボックス内での配線など、雨水がかからないようにしてください。
  • リミットスイッチを屋外にてご使用される場合は、リミットスイッチの鉄系部品(ねじ類、プランジャなど)が腐食することがあります。
    なお、特定の機種につきましては、耐候性タイプをシリーズ化としておりますのでご使用を検討してください。
    (形WL-□P1、形D4C-□P)
  • 屋外とは立体駐車場など雨水がかかったり日光のあたる環境であり、腐食性ガスや塩害の影響のある環境は除きます。また氷結した場合、復帰不良もしくは規格を満足しないことがあります。

●操作について

  • スイッチのアクチュエータが急激にスナップ・バックしたり、衝撃を受けることがないよう、操作体(カム、ドッグなど)には配慮を行ってください。相対的に速い動作でスイッチを操作する場合には、リレーやバルブを十分励磁できる、保持ストロークの長いカムやドッグにしなければなりません。
  • 操作方式、カムやドッグの形状、ひん度、動作後の動きなどが耐久性、精度に与える影響は大です。従って、カムやドッグはなめらかな形状にしてください。
  • スイッチのアクチュエータには回転運動、直線運動の場合とも、正常な荷重がかかるように設定してください。
    下図のように、ドッグがレバーにあたると動作位置も安定しません。
  • スイッチのアクチュエータには偏荷重がかかることのないように、また局部摩耗が起こらないようにしてお使いください。
  • スイッチのアクチュエータ(ローラ)に斜めから荷重を印加されますとアクチュエータおよび回転軸の変形・折損の原因になりますのでまっすぐにドッグがあたるようにしてください。
  • アクチュエータが動作後の動き(OT)を越えないようにセットしてください。動作後の動き(OT)が制限を越える場合、故障の原因となります。取りつけ時の調整は、操作全体の動きを考慮して、十分ご検討してください。
  • 動作後の動きが大きすぎる場合は、早期の故障を誘発します。従って、取りつけ時の調整が必要であり、操作体の予想される工程に対しても、十分検討してください。
  • ピン押ボタン形では、押ボタンのストロークと操作体のストロークが垂直線上に一致するように、取りつけを調整してください。
  • スイッチはアクチュエータの特性に合わせた操作方法でご使用ください。
    なお、ローラ・アーム・レバー形の場合、下図のような矢印方向でのご使用はしないでください。
  • アクチュエータの加工による動作位置の変更はしないでください。
  • 可変レバーなど長レバーでご使用の際は、テレグラフィングが発生しやすくなりますので対策として以下の方法をお奨めします。
    1.ドッグの後端をなめらかな角度15~30°にするか、2次曲線で結んでご使用ください。
    2.回路にて誤動作信号を捻出しないように変更してください。
    3.片側動作ができるスイッチを使用してください。(または、片側動作にセットしてご使用ください。)
  • ベベル・プランジャタイプの場合、操作体の幅はプランジャ幅より広いものをお使いください。

●ドッグの設計

ドッグの速度および角度とアクチュエータとの関係について

ドッグを設計する場合、ドッグの速度および角度(φ)とアクチュエータの形状などとの関係を十分考慮する必要があります。
なお、一般的なドッグ角度30~45°の範囲でのドッグの操作速度(V)は、0.5m/s以下が適当です。

〈ローラ・レバー形アクチュエータ〉

(1)ドッグがアクチュエータを乗り越えない場合

ドッグ速度が0.5m/s以下の場合(普通)

Vmax(m/s)Φy
0.4 
0.25 
0.1 
0.05(低速
30°
45°
60°
60~90°
0.8(TT)
全ストロークの80%までとれます。

ドッグ速度が0.5m/s≦V≦2m/sの場合(高速)

Vmax(m/s)θΦy *
0.545°45°0.5~0.8(TT)
0.650°40°0.5~0.8(TT)
1.355°~60°30°~35°0.5~0.7(TT)
265°~75°15°~25°0.5~0.7(TT)

*yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。

(2)ドッグがアクチュエータを乗り越える場合

ドッグ速度が0.5m/s以下の場合

Vmax(m/s)Φy *
0.4 
0.25 
0.1
30°
45°
60°
0.8(TT)
全ストロークの80%までとれます。

ドッグ速度が0.5m/s以上の場合

比較的高速でドッグがアクチュエータを乗り越える場合は、ドッグの後端をなめらかな角度(15~30°)にするか、2次曲線で結べば、レバーのおどりが少なくなります。

Vmax(m/s)θΦy *
0.545°45°0.5~0.8(TT)
0.650°40°0.5~0.8(TT)
1.355°~60°30°~35°0.5~0.7(TT)
265°~75°15°~25°0.5~0.7(TT)

*yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。

〈プランジャ形アクチュエータ〉

ドッグがアクチュエータを乗り越える場合でも、前進方向と後退方向の形状は同じでよいのですが、アクチュエータがドッグから急激にはなれるような形状は避ける必要があります。

ローラ・プランジャ形

Vmax(m/s)Φy *
0.25
0.5
30°
20°
0.6~0.8(TT)
0.5~0.7(TT)

ボール・プランジャ形

Vmax(m/s)Φy *
0.25
0.5
30°
20°
0.6~0.8(TT)
0.5~0.7(TT)

ベベル・プランジャ形

Vmax(m/s)Φy *
0.25
0.5
30°
20°
0.6~0.8(TT)
0.5~0.7(TT)

*yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。

〈フォーク・レバーロック形アクチュエータ〉

*ドッグ形状については、アクチュエータ反転時、もう一方のローラレバーにあたらないように設計ください。

●ドッグ移動量によるストローク設定

  • リミットスイッチのストローク設定を、アクチュエータ角度ではなく、ドッグの移動量で行う場合の方法についてのべます。
    リミットスイッチの適正ストロークは以下のとおりです。
    適正ストローク:PT+{OT規格値×(0.7~1.0)}
    角度で表すとθ1+θ2となります。
  • 適正ストロークに対応する、ドッグの移動量は次式で表せます。
  • 適正ストロークに対応する、取りつけ基準位置からドッグ下面までの寸法は次式で表せます。

●ドッグの面粗さについて

ドッグの面粗さは▽▽▽( 6.3S)程度で、焼き入れはHV450程度が適当です。
また、アクチュエータとドッグの摺動部にグリス(二硫化モリブデン系)を塗布すると摩耗の低減がはかれ、摺動も円滑になります。(リミットスイッチの防滴形、マルチプル・リミットスイッチなど)

●保守・修理について

保守・修理の際には設備使用者ご自身での保守・修理は行わず、設備(機械)メーカへご連絡(相談)ください。

●その他

  • スイッチのシール部材は標準仕様として耐油性に優れたニトリルゴム(NBR)を使用しています。ご使用環境の油や薬品の種類によってはこのゴムの膨潤、収縮など劣化する場合がありますので事前にご確認ください。
  • 接触信頼性を高めるため、ご使用負荷により正しいスイッチの選定が必要となります。詳しくは各商品カタログ(データシート)をご覧ください。
  • 長レバー、長ロッド・レバーなどをつけてご使用の際はレバーを下向けにしてご使用ください。
  • リード線の配線は下図のように行ってください。

〈正しい方法〉

〈誤った方法〉

  • アクチュエータ部のゴム系シール部材は、周囲温度の低下に伴い固化する傾向があります。このため、アクチュエータを常時押し込んだ状態で使用されると、復帰が遅れたり復帰しなくなる場合があります。このような環境・用途で使用される場合には、別途お問い合わせください。

最終更新日:2024年03月01日